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Channel: インタビュー – ROOMIE(ルーミー)
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インダストリアルなリノベ部屋には、駆け出し起業家をポジティブにしてくれるヒミツが溢れている|みんなの部屋(千駄ヶ谷)

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「起業ってつらくて大変! ってイメージだったんですが、いざ始めてみると、もう楽しくって楽しくって」

明るい笑い声とピンクのワンピースがよく似合う森本さんは、本を通じてのマッチングサービスを始めて半年の「駆け出し起業家」。

多忙な毎日を過ごす彼女ですが、建築家であるご両親と一緒にリノベーションして作った空間には、“元気の源”があふれていました。

名前:森本萌乃
職業:MISSION ROMANTIC 代表、FABRIC TOKYO プランナー
家族構成:ひとり暮らし
場所:千駄ヶ谷
面積:31m²

お気に入りの場所

豊かな夜を味わうベンチ

週に4日、スーツのオーダメイドサービスを行うFABRIC TOKYOに出勤しながら、毎週水曜日には、自社MISSION ROMANTICの企画・運営を自宅で進めている森本さん。

「出勤日も、自宅で仕事をする日も、その日の仕事を終えて落ち着いたら、このベランダの淵に座っての~んびりするんです。

夜は涼しい風が気持ちよくて、公園のベンチでまどろんでいるような気持ちになりますよ」

世界各国で出会ったアロマキャンドルたち

その日の気分に合った香りのアロマキャンドルに火をつけた後、このベンチで簡単なおつまみとお酒を楽しむのが、お気に入りな夜の過ごし方なんだそう。

あえて電気を消してアロマの灯だけで過ごすひとときは、日中の忙しさとは打って変わって、時間の過ぎ方がゆったりと感じられるのだとか。

ドコモタワーの灯りを眺める、ハンモック

「さらに、夜にここへ寝ころぶと、遠くにうっすら新宿のドコモタワーの灯りが見えるんです」

読書家の森本さん。今読んでいるのは、内田洋子さんのエッセイ

都会ゆえに綺麗な星空は見えないそうですが、ハンモックから小さくドコモタワーの灯りが見えるとなんだか嬉しくなって、「明日も頑張ろう!」と気力がムクムク湧いてくるのだとか。

ベンチやハンモックなどの夜のベランダまわりが、森本さんにとって、元気をチャージするパワースポットになっているようです。

SINGERミシンのお仕事スペース

古道具好きの間で人気な、SINGERミシンの脚を生かしたテーブルが、自宅内のお仕事スペース。

「脚に乗った板と共に、東京蚤の市で売られているのを見て一目惚れして!

迷わず購入したものの、前に住んでいた中目黒の家には雰囲気が全く合わない(笑)

この机が合う家に次は住みたいな~と想像しては、ワクワクしていたんです!」

横の柱に取り付けたられたポケットは、パソコンの収納スペースに。

自社の仕事をする日には、ここで楽しそうにパソコンを叩く森本さんの姿が、なんとなく見えるような気がします。

友人の調理のお手伝いをする、アイランドキッチン

「実家の母にも怒られるくらい、私は自炊をしないんです……。

かわりに料理上手な友人たちが、よくパスタとか作ってくれますね。

それをラップして冷蔵するのが私の担当です(笑)!」

ちなみに、お部屋に入った瞬間に、圧倒的な存在感を感じさせたこちらのアイランドキッチンは「サンワカンパニー」のもの。

水回りやダクトのデザインがスタイリッシュなだけでなく、収納スペースも大容量なのが魅力です。

このキッチンでおつまみを作る友人を囲いながら乾杯し、みんなでまどろむホームパーティをするのだとか。

う〜ん、ぜひ金曜夜にお邪魔させて欲しいです!

朝の支度ゾーン

「お化粧したり、香水をつけたり。毎朝の身支度はここで完了させます」

洗面台があるので、洗顔や歯磨きもここで出来るとのこと。

一面の白タイルが朝の風景に映えそうです!

個人的には、1日のはじまりを作る化粧台の美しさが、取材中一番羨ましく、トキめいたポイントでした……。

こだわりのレストルーム

まるでカフェのようなレストルームも、印象的。

デザイン性のある洗面台は、インクコーポレーションのVinageシリーズ

リノベーション物件だからこそ叶った細部へのこだわりが、そこかしこに垣間見えます。

部屋に入った瞬間目に入る、元気になる棚

「部屋に入って、一番最初に目につくのが上の棚。

だから帰宅するたび気持ちが上がるように、好きなものだけを置いたスペースなんです」

おじいちゃんが描いてくれたという、森本さんが二歳の頃の似顔絵や、好きなアーティストの写真集、大好きだと話す恐竜の図鑑などなど……。

どれも特別なストーリーが隠れた、森本さんの宝ものたちです。

この部屋に決めた理由

「前の家に住んでいるときから、なんとなく、自分でビジネスを始める気はしていて。

それなら都会とのアクセスが良くて、閑静な場所がいいなあと思っていました」

楽しい街だと遊んでしまうので「飲み屋がたくさんある場所は避けた」と話すお酒好きな森本さん

「それで出会ったのが、千駄ヶ谷にある今のマンション。敷地の入り口から、建物の玄関までの通路が、奥まっている感じが気に入ったんです。

2016年にここに住みたいと決めてから、部屋が空くのをずーっと待っていて。空いた瞬間、建築家の両親と買ってリノベーションしました」

壁を裸にすると武骨なコンクリ壁が。

「造りの特徴を活かしたリノベーションをしよう!」と、特にお母さんと話し合ってデザインを進めたのだとか。

少しずつ家具も揃え、今の形になったそうです。

残念なところ

椅子と机の高さが合ってない…

お気に入りのSINGERの机の高さが、なんと搬入後にソファと合わないことが判明。

今はクッションをふたつ重ねてお尻の下に敷くことで、高さを調整しているそうです。

購入後に違和感

「空間の雰囲気を生かしたガレージっぽい部屋作りを目指していたんですが……。

この照明を購入して設置してみたら、ちょっとフューチャリスティック過ぎたなと……。

ただ、このライトを購入した目黒のリサイクルショップ『ソネチカ』さんは、手ごろ価格でかわいいアイテムが揃うのでおススメですよ(笑)!」

一点モノのインテリアを探している場合には、ぜひ覗いてもらいたいお店だそうです。

お気に入りのアイテム

やる気を灯す作業ランプ

IKEAで購入したこちらのランプは、お部屋に小さな雲が浮かんでいるような幻想的なデザイン。

「スイッチをいれると、ぼうっとゆっくり灯りが点るところがお気に入りで。

この灯りが点ると私のやる気スイッチもオンになるイメージですね」

作業前には、必ずこのランプをつけるそうです。

リピートし続けたいクッション

ACME Furniture(アクメファニチャー)のベッドを彩る、肌触りの良いクッションカバーはパリのインテリア雑貨屋「Merci(メルシー)」のもの。

「1枚5000円ほどする枕カバーなので、全然手ごろ価格ではないんですが(笑)。

インドリネンとは質感の違う、なめらかなリネン100%の肌心地が最高に気持ち良くて……」

あまりにも気に入りすぎて「パリへ行くたびに買うつもり!」とのこと。

実際に触らせていただいたところ、肌に馴染むしっとり感が、最高に寝心地良さそうでした……。

花器のディスプレイ

正面から見ると「花瓶」のようなこのアイテムですが……

裏側から見ると、なんとペットボトルが挿されています! なんともいえない抜け感が可愛い“花器”ですね。

Artori Designというブランドの花瓶です。確かビルバオの美術館で買ったのかな?

日本のペットボトルだとうまく差し込めなくて、紀伊国屋にオシャレなお水を買いに行きました」

アロマキャンドル

冒頭にも出てきた通り、大のキャンドル好きだと言う森本さん。

「私の持っているキャンドルの中で、一番長いものでも、灯りを点して保つ時間はたった9時間ほどで。

インテリアやムードの演出以外に、時間の経過をきちんと感じるためにキャンドルを使っている部分もあります。

自分ひとりの時だけに点すと決めているキャンドルもあるんですよ。

ひとりでおうちで過ごした大事な時間が、あとから見ても分かるように。」

常に時間に追われ休むことを忘れがちなルーミーには、ちゃんと休んでいるかどうかが一目で分かる森本さんのアロマ習慣をマネしてみてはいかがでしょうか。

思い出の地を飾ったディスプレイ

「コレ、スウェーデンの会社が提供している、自分の好きな場所を地図にして飾れる『mapiful』ってサービスなんです。

指定した地図データを加工して印刷してくれるんですよ!

このサービスに出会ったとき、感動してカスタマーセンターに『素晴らしいサービスを有難う!』とDMしてしまったくらい気に入っています(笑)」

ちなみに森本さんは前に住んでいた、大好きな中目黒の地図を印刷してもらったそう。

「ただ、ここだけの話、ミスって中目黒じゃない場所がメインになっちゃってて……(笑)」

とお茶目な一言。思い入れのある場所を地図にして連れ添っていきたい人に、オススメしたいサービスですね。

暮らしのアイデア

思い出のトランクは消耗品ケースに

「これは19歳のときからもう10年ほど愛用しているトランクです。母にプレゼントしてもらいました。

かなりガタが来ていて、旅先に持っていくと壊れちゃいそうなので、部屋でコンタクトなどの消耗品を収納するケースにしています」

生活感の出やすい消耗品を、上手に隠す暮らしのアイデア。

飲みたい日は、友人を自宅に呼んで節約!

「この物件、立地が良いから仕方ないんですが、家賃がちょっと高いんですよね……。

だから、節約の意味でも、飲みたい日は友人に家に来てもらって家で飲むのが定番になりました。

すっかり、夜は飲みに出歩かなくなったという森本さん。

当初の「起業したら、飲み歩かないようにする」作戦は、見事成功したようです!

ワイン箱で収納を

「りんご箱を収納に役立てている」暮らしのアイデアは過去の取材でもお聞きしましたが、森本さんの場合は、ワイン箱を活用。

お酒好きだからこそ気づいた、暮らしのアイデアですね。

これからの暮らし

「今どうにかしたいと考えているのは、このスクリーン!

寝る前や友人が来たときに、映画を見れたら最高なんですが……まだ設備を整えてないので見れないんです(笑)」

「両親が建築関係の仕事をしているので、自分の住みたい家を一緒になって作ってくれるのは本当にありがたい環境でした。

住んだあとの楽しさはもちろんですが、ああでもないこうでもないと、母とリノベーションを進めているときが一番楽しかった気がします。

いつかまた、別の物件もやりたいねと話していますが、まずは自分の会社をなんとかしないと!

この家で本気で仕事に打ち込んで、自分のサービスを通じて、今よりもっと多くの人をハッピーにできる自分になっていたいです」

森本さんのお部屋で垣間見えたのは、大変なときでも、「常に楽しんでいたい」「ワクワクしていたい!」と、前向きな姿勢を作る元気の源たち。

忙しい日々の中でも、暮らしの中に上手にリラックスや癒しを盛り込む、まさに好例を見たような取材なのでした。

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ROOMIEのフリマイベント「NEIGHBORS STAND」は、人とモノと思い出をつなぐ場になったよ

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7/20(土)、ROOMIEと青山ファーマーズマーケットとの共同企画イベント「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」(ネイバーズ スタンド バイ ルーミー)が開催されました。

”LIFE WITH FARM”をコンセプトに毎週土日、開催している青山ファーマーズマーケット。

この日も全国各地から集まった新鮮な野菜や果物、素材にこだわったお菓子やスパイス、オーガニック食材、色鮮やかなお花やサボテンなどが勢揃い!

まるでお祭りのような賑わいの中、会場の一角で「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」はスタートしました。

本当は手放したくない! 思い入れのある私物を出品

会場には、ROOMIEを普段から読んで下さっている読者の皆さんだけでなく、青山ファーマーズマーケットに遊びに来ている方々まで遊びに来てくださいました。

それを迎える出店メンバーは、人気のお部屋訪問連載「みんなの部屋」にご登場いただいた、平井龍之進さん勝山龍一さん安田さんご夫妻、手島さんご家族田中陸さん安倍川さんご夫妻、スペシャルゲストの小笠原希帆さん、そして、ROOMIE編集部員たち。

各ブースには、洋服やスニーカー、アウトドアグッズ、家具、アクセサリー、植物など、「本当は手放したくない!」、「この日のために作ってきました!」という思い入れのある私物ばかりが並んでいました。

皆さん、どのような思いで出品され、何が売れたのでしょうか?

普段使っているもの&使わずに取っておいたものを|安田太陽さん

プロダクトメーカーでデザイナーとして活躍されている安田さん。

築45年の一軒家を改築したご自宅で古道具をインテリアにされているだけあって、ドクターバッグやトランクなど、歴史や以前の持ち主のストーリーを感じさせるものが多くありました。

「今日持ってきたのは、普段使っているもの、いいなぁと思って買ったけど使わずに取っておいたものばかり

テント、温度計、アルコールランプ、方位磁石などが売れました。ROOMIEだからこそ集まるお客さんが多いですよね。

なかなかこういう機会がないので新鮮でおもしろいです!」(安田さん)

インテリアグッズをメインに|勝山龍一さん

ジャーナルスタンダードファニチャー・アクメファニチャーでプレスをされている勝山さん。

家具の会社で働いていらっしゃるだけあってインテリアグッズを中心に、スニーカーや本などを出品されていました。

今日のオススメはスマホの充電ができるこのサイドテーブル。ベッドやソファにスッと入れて使えるので飲み物を置いてもいいかも。畳めるので、使わないときはコンパクトになります」(勝山さん)

『みんなの部屋』を見て、岡山、広島の方がわざわざ来てくださいました。

『記事を見ました!』と言われたら恥ずかしくて何もしゃべれなかったです(笑)」(勝山さん)

デジタルとアナログ、植物を|田中陸さん

役者・植物店勤務・デザイナーと多彩に活躍中の田中さん。

「みんなの部屋」に登場したときから髪型が変わった田中さんのブースは、昭和感あふれるブラウン管テレビと無機質なシルバーアクセサリーなど、今昔が程よくミックスされた売り場になっていました。

「普段部屋づくりをする上でメインになっている植物、昔使っていたアクセサリーやメガネ、自分のブランド『elephant in the room』のTシャツなど、大事にしているものを持って来ました。

デジタルとアナログの要素と、植物など自然なものを組み合わせて自分らしさを出しています。一番売れたのは、植物です。品種によって土を変えて僕が作りました」(田中さん)

「ROOMIE読者の方も来てくださって、『みんなの部屋』のときとイメージが違うと驚かれる方が多かったです(笑)」(田中さん)

キャンプグッズや流木など、アウトドア用品が売れました|手島悠太さん

デザイン関係のお仕事をされている手嶋悠太さんは奥様の満夕(まゆ)さん、お子様とご家族で出店されました。

ブースにはテントなどのキャンプ用品、自転車用品、子供用のおもちゃ、流木、靴などがズラッと並んでいましたよ。

「使い捨てのバーベキューセットは人気ですね。あとは、アウトドアで使える軽量のコーヒーフィルターはエコだし便利です」(悠太さん)

流木が好きなので、今日も持って来ました。普段はハンガーラックなど、インテリアとして使っています」(満夕さん)

悠太さん、満夕さんオススメのキャンプグッズや流木のほか、雨が続いていたからかL.L.Beanのレインブーツも早めに売れたそうです。

好きで買ったけれど、使いきれていないものを出品しました|巧さん&萌さんご夫婦

築30年以上の中古マンションをリノベーションした部屋で暮らすお二人は、洋服、靴、バッグ、本などを出品。

お二人のブースでは、ROOMIE読者はもちろん、ふらりとファーマーズマーケットに立ち寄った方がお買い物されていました。

捨てるのはもったいないけど、使う人は使うだろうというもの。買ったはいいけど使いきれてないもの。好きで買ったものなどを出品しました。

思った以上に買ってくださって、持って来た本も残りわずかです」(巧さん)

バッグ、サンダル、本など結構売れました。好きなブランドのサンダルがあったのですが、履いたら足が痛くて……。

でも気に入っていたので処分せずに持ってたのですが、今回買っていただけて良かったです」(萌さん)

巧さん&萌さんの記事を読んで、わざわざ遠方から来てくださった読者もいらっしゃったそうですよ。

この日のために作った、オリジナルの植物と洋服を|平井龍之進さん

建築デザイナーの平井さんは、お友達と出店。

ブースには、このフリマ限定で作ったという植物が所狭しと並んでいました。

『みんなの部屋』に出ている僕の部屋のイメージに近いものを出そうと思って、コンクリートで作ったプランターの植物をメインにしつつ、服もいくつか出品しています。

服は、全くいらないもの、お気に入りなんだけどこの値段だったら手放してもいいものを持って来ました。タダで持っていてOKな本もあります」(平井さん)

コンクリートのプランターは、ビニール袋を型にして作ったオリジナルアイテム!

独特なフォルムが、たくさんの人の目を引いていました。

「ROOMIE読者の方々はもちろん、それ以外の人もたくさんいらして楽しいです!」(平井さん)

「Freada」のイメージソースとなる古着を中心に|小笠原希帆さん

「フリークス ストア」の元プレスで、現在はブランド「フリーダ(Freada)」でディレクターを務める小笠原希帆さんも出店してくださいました!

ブースには、白いロングワンピースやロングスカート、メキシカンテイストのカラフルな古着などが並び、小笠原さんファンの女性たちもひっきりなしに訪れていました。

「海外で買ってきた古着を中心に持って来ましたが、ワンピース、ロングスカートなどが売れました。

(メキシコの画家)フリーダ・カーロが好きで、『Freada』は彼女をブランドアイコンにしています。

メキシコの太陽をイメージソースにしているので、今回出品している古着はそのテイストがあるものもたくさんあります」(小笠原さん)

小笠原さんのインスタグラムを見て、わざわざ静岡から来た方もいるほどの人気!

実際にコーディネートのアドバイスを受けながら購入した女性は皆さん大満足の様子でした。

人とアイテムとの出会いがたくさん

「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」を目指して来てくださったROOMIE読者と、「毎週末は青山ファーマーズマーケットに来ています!」というファンの皆さんが会場全体を行き来して買い物を楽しんでいらした今回。

作った人、売っている人、使っていた人、それぞれの思いが伝わるマーケットには、他のショップでは出会えない、唯一無二の宝物を手にした皆さんの笑顔がありました。

最後の打ち上げでは、出店者同士が笑顔で交流する姿も!

会場まで足を運んでくださった読者の皆さん、このフリマをきっかけに「これから必ず読みます!」と言ってくれた方々、本当にありがとうございました!

そして、ここでお知らせです!

好評につき、なんと9月に第2回の開催が決定! 出店者も新たな顔ぶれでお迎えいたします。

今回、楽しかった!という方にも、行けなかった!という方にも、ぜひぜひお会いできれば幸いです。お待ちしています~!

第2回「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」(ネイバーズ スタンド バイ ルーミー)
日時:9/21(土)・9/22(日)10:00〜16:00
場所:青山ファーマーズマーケット内にて
入場無料
次回はMASHING UP&青山ファーマーズマーケットとの共同開催です!

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ROOMIEのフリマ「NEIGHBORS STAND」で、みんながどんなモノを買ったか聞いてみたよ!

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7/20(土)、青山の国連大学前で、ROOMIEと青山ファーマーズマーケットとの共同企画イベント「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」(ネイバーズ スタンド バイ ルーミー)を開催しました!

この記事では、出店者の皆さんからアイテムを購入してくださった方々のインタビューをお届けします。

平井さんのサボテンと帽子を買いました|はーちゃん、おかゆさん(大学院生)

美術系大学の工芸科に在学中のお二人。

インスタを見て、会場まで遊びに来てくださいました。

何を買いましたか?

ビニールを型にして作った鉢が可愛いサボテンを買いました。多肉植物が欲しかったのですが、こういう変わったデザインは初めて!

ベッド脇に飾りたいです。ちゃんと水が抜ける穴も空いているし、平井さんは多肉植物が好きな人ということで信頼できます」(はーちゃん)

平井さんのブースで帽子を買いました。状態も良いですし、デザインもかわいい!

本当は500円だったんですが、お財布に107円しかないって言ったら、『107円でいいよ』って言ってくれたんです(笑)。 秋冬モノなので、10月以降にかぶりたいです」(おかゆさん)

イベントに参加しての感想は?

とっても可愛い植物が買えて大満足です(笑)。ファーマーズマーケットには初めて来たのですが、『伊良コーラ』がおいしかった!」(はーちゃん)

「いい買い物もできたし、ブースを見て回るだけでも面白いですね(笑)。外に出れば野菜やお花も売っていて楽しかったです」(おかゆさん)

萌さんのサンダルとバッグを即買いしました|こっこさん

スペインのシューズブランド、カンペールが好きなこっこさん。購入したカンペールサンダルに履き替えてインタビューに答えてくださいました。

ファーマーズマーケットは数年振りということでしたが、お買い物を楽しんでいただけたようです。

何を買いましたか?

カンペールの黄色いサンダルと、ライトブルーのバッグです。サンダルは色も形も好みで、試着したらサイズもぴったりだったんです。

買ってから数年経っていること、萌さんにはサイズがちょっと大きくてあまり履かなかったことも聞いて納得して買いました。この夏、活躍しそうです」

バッグもカンペールですが、冬物なので涼しくなったら日常使いします。ぺたんこに畳めるので、しまいやすいところも気に入りました。

サンダルは3,000円、バッグは800円で、ダメ元で値引きをお願いしたら2つで3,000円にしてくれました!」

安田さんの温度計とアルコールランプを買いました|今井誠さん(会社員)

「新居で使うものを探しています」というROOMIE読者の今井さんは、安田さんとROOMIE編集部のブースでお買い上げ!

何を買いましたか?

安田さんの温度計とアルコールランプ、ROOMIE編集部のブースでは素敵な箸を買いました。

最近、単身赴任したばかりなのですが、やっと落ち着いてきたので部屋の小物を揃えたくて温度計とアルコールランプを買いました。

温度計もアルコールランプも箸も直感的に気に入りました!」

「近々テーブルをDIYする予定なので、温度計とアルコールランプはそのテーブルの上に置きたいです。

箸は、週1回お弁当を作って会社に持って言っているので、その時に使おうと思います」

巧さんのバッグをお買い上げ|市村侑史さん(会社員)

ROOMIEのイベント告知記事を見て、わざわざ栃木から来てくださった市村さん。

何を買いましたか?

巧さんが愛用していたバッグを買いました。

バッグが好きなんですが、周りで持っている人がいないブランドだったので買ってみました。出かける時、遊びに行く時に使いたいです」

イベントに参加しての感想は?

「こういうイベントに来るのは初めてだったのですが、編集部の人に会うことができたし、いい買い物もできました!」

小笠原さんのロングスカート、パーカーを買いました|YUKARIさん(自営業)、TAIYOUさん(会社員)

小笠原さんの固定概念にとらわれないスタイル、センス、色使いが好きです!」というYUKARIさんと、ROOMIE読者のTAIYOUさんは静岡から遊びに来てくださいました!

何を買いましたか?

小笠原さんのブースで、ロングスカート、パーカーを買いました。

小笠原さんにアドバイスしてもらったので、上下で合わせて着たいです。ロングスカートは一年中はけそうだから今から使おうと思います」(YUKARIさん)

ROOMIE編集部のブースで編集部員の人から黒いジャケットを買いました。5,000円だったのを500円に値下げしてくれたんです(笑)。

普段僕は黒い洋服を着ないのですが、彼女が着たいというので兼用です(笑)」(TAIYOUさん)

イベントに参加しての感想は?

小笠原さんに会えて嬉しかったです! インスタで拝見している以上に素敵な方でした」(YUKARIさん)

雰囲気がすごい素敵でしたね。 おしゃれな方がたくさんで楽しいです」(TAIYOUさん)

安田さんのブースでベルトを買いました|江口健介さん(NPO職員)

連載「マイ定番スタイル」がお好きだというROOMIE読者の江口さん。 今回は安田さんが出品された革のベルトをお買い上げ!

何を買いましたか?

自転車を乗る時にパンツの裾を巻き込まれないようにする革のベルトを買いました。

普段、タンブラーを使っているのですが、今までカバンのポケットに入れていました。でもポケットに入れるのをやめて、タンブラーにこの革のベルトとカラビナをつけてカバンに引っ掛けたいと思っています」

イベントに参加しての感想は?

「おもしろい!センスのある売り場ばかりだと思います」

本当にありがとうございました!

栃木や静岡、岡山、広島など、遠方から会場に来てくださった方もいらっしゃって、ROOMIE編集部も驚きを隠せませんでした。

本当にたくさんの方がフリマを楽しんでくださったようで、ホッとしています。

改めて、ROOMIEのフリマ「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」にお越し下さった皆さま、ありがとうございました!

みなさんの手に渡った品々によって、いつもの生活に少しでも彩りが加わればと、編集部一同心より願っています。

そして、前回の記事にもありますが、お知らせです!

好評につき、なんと「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」は9月に第2回の開催が決定! 出店者も新たな顔ぶれでお迎えいたします。

今回、楽しかった!という方にも、行けなかった!という方にも、ぜひぜひお会いできれば幸いです。

第2回「NEIGHBORS STAND by ROOMIE」(ネイバーズ スタンド バイ ルーミー)
日時:9/21(土)・9/22(日)10:00〜16:00
場所:青山ファーマーズマーケット内にて
入場無料
次回はMASHING UP&青山ファーマーズマーケットとの共同開催です!

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吹き抜けとブルーの壁が醸し出す、爽やかで開放的な100平米の一軒家(静岡県 榛原郡)|みんなの部屋

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静岡は中部に位置し、静岡駅から車で30分ほど。

大通りから少し内側に入った静かな住宅街にあるのが、今回ご紹介する高橋さんご家族のお住まいです。

外観と同様に、こだわりと良い意味で”家らしくなさ”を感じるお住まいに伺ってみました。


名前:高橋亮吾さん(理学療法士)
   萌さん(主婦 言語聴覚士)
   湊くん、凪ちゃん
場所:静岡県榛原郡
面積とLDK:延べ床面積 126㎡(1階67㎡ 2階59㎡)、3LDK
建築費:非公開
築年数:1年6ヶ月 戸建

お気に入りの場所

欲しかった畳スペースと畳越しの眺め

「家を建てる際に畳スペースが欲しいという想いがありました。

でも、空間として仕切ってしまうと狭くなってしまう。そこで、吹き抜けにしました。

おかげで窓際のワークスペースもよく見えてお気に入りのスペースです」

とは、旦那様の亮吾さん。

同じ場所では、奥様の萌さんが娘のおむつ変え。

「何だか両サイドの景色と異なる感じが異空間のように感じられて好きですね。」(萌さん)

経年変化も楽しめる、家らしくないモルタルのキッチン

萌さんは元々、アイランドキッチンへの憧れがあったそう。ただ予算面で断念されたとのこと。

「キッチンについて考える中で、せめて壁を!と考えていたところ、モルタルキッチンをSNSで見つけて。

良い意味で家っぽくないカッコよさを感じて、私たちもお願いをしました。」

小さなヒビ割れなど雰囲気的に味もありますが、手元が隠れるので機能性としても良いそうです。

キッチンからも様子が分かる、2階のワークスペース

2階には爽やかなワークスペースが。

「今は僕が使うことが多いですが、後々は子どもの勉強スペースの一つとしても使ってもらえたらなと思います。」(亮吾さん)

丁度、キッチンからも様子が見えるらしく、萌さんが料理をしながらでも声をかけられるのもよいのだとか。

この部屋に決めた理由

憧れの建築家さんに依頼できた

「家を建てるにあたってどうしてもお願いしたい建築家さんがいて。

カフェ風の家、大きな吹き抜け、広い家……など、ざっくりとした要望と好きな雰囲気の画像を提供してお願いをしました。」(亮吾さん)

理想はアバウトな形でお伝えしたことも多かったそうですが、1回目で出てきたものがとても納得感が高かったそう。

「広くスッキリした空間でありながら、お家っぽくない感じが逆に良かったんですよね。」(萌さん)

残念なところ

仕切りを極力無くしたが故の、境界の曖昧さ

仕切りがあまりない故に、開放感が出ていますが、逆に困ったこともあるそう。

「玄関の靴を脱ぐ場所もわかりにくくなってしまって……。お客さんが来た時、ついつい土足で上がってしまうことがあります。

ちなみに、建築家さんの最初のプランでは完全にフラットで境目がなくて。

それでは境界が分からないと2センチ程の段差は作ったのですが、それでも気づかれないです、家っぽくなくて好きですけどね…。」(亮吾さん)

「私は、モルタル床のシミが気になりますね。

当初は素材を生かして水を撒きながらの掃除ができるから良いと思ったんです。

ただ、いざ住んでみると家の中という感覚が強くて、なかなか水を撒く勇気は出ませんね……。」(萌さん)

子どものプライベート空間が気になる。

吹き抜けが広く家のどこにいても子どもに声が届くため、今は様子が分かったり、声かけが出来たりと便利だそう。

しかし、子どもが大きくなった時の心配もあるようです。

「リビングでの声やテレビの音が聞こえて、勉強などひとりの時間の妨げにならないかは気になりますね。」(萌さん)

唯一カーテンをつけていない窓からの西日が強い

「季節によりますが、キッチンにある窓からの夕日が強くて、テレビが見えなくなるほど眩しくなってしまいます……。位置的にソファーが日焼けしないかも不安ですね。

かといってフタをすることによって暗くなるのも嫌なので、簡単な布などをかけようかと検討中です。」(萌さん)

お気に入りのアイテム

玄関に飾っている思い出のウェルカムボード

結婚式の時に描いてもらった似顔絵がお気に入りで玄関に飾られているそう。

萌さんが三重に住んでいた頃に行っていた美容院で見つけたアーティストさんにお願いして描いてもらったものなのだとか。

心を決めて購入した住まいの主役ソファー

「引っ越した後に見つけてどうしても欲しいと思ったのが、このunicoのレザーソファーでした。」

「子どもの手によって傷が増えてきていますが上手くお手入れをしながら良い味に変わってくれたらなと思っています。」(亮吾さん)

写真を撮るときはどうしてもソファが主役になってしまうそうですが、家に合っていて萌さんもお気に入りなんだとか。

住まいにぴったり古材の姿見

「ずっと欲しいと思っていたのが姿見だったのですが、家に合うような色合いや雰囲気のものはどれも高くて……。

必死に探していた中でネットで見つけたのがこの姿見でした。

置いてみると、思った以上に馴染んでくれて。とても気に入っています。」(萌さん)

アンティークのマガジンラック

以前は三重に住んでいた高橋さんご家族。その頃に個人商店のアンティークショップでたまたま見つけたのがこのマガジンラックだったそう。

「色合いや使いこまれた感じに惹かれまして。ただ、これまでは賃貸だったので、あまり雰囲気を生かすことが出来ませんでした。

だけど、この家ならようやく空間にもゆとりが出たので、馴染んできましたね。」(萌さん)

暮らしのHow Toやティップス

家の雰囲気を邪魔しない住み分け



家族だけの空間と、人を招ける空間は分けられるようになっているそう。

家族だけの空間は2階がメインで、人を招ける空間は1階に。

2階は吹き抜けを中心に、ぐるっと浴室・寝室・ウォークスルークローゼットが。

1周すれば準備が整うようになっているそう。便利!

「1階もスペース毎の空間を意識をしていて。照明のスイッチなんかも場所に合わせて少しずつ異なるものを付けています。」(萌さん)

物を飾りすぎない

吹き抜けで広く見える空間だからこそ、逆にものが目立ってしまうという一面もあります。

ものが多く出ていると、見た目もごちゃつきがち。

収納スペースも上手く使いながら空間を広く使うようにしているそうです。
 

これからの暮らし

いつでも居心地の良い、いつでも人を呼べる、そんなお家を作っていきたい。

実は、家にまだまだ使えていないスペースが多いと仰る高橋さんご夫婦。

「一回のカフェスペースやウッドデッキなど、人を招いて楽しめるようなスペースはもっと活かしていけたらなと思っています。」(亮吾さん)

子どもの成長に合わせて、アクティブな仕掛けを住まいにも

インテリアも、子供の成長に合わせて徐々に改革していきたいそう。

「観葉植物を置いて雰囲気を変えたり、2階からロープを下げてアスレティックコーナーを作ったりも良いかな。

控えめな子どもがアクティブになれるような仕組みを住まいにも作っていけたらと思いますね。」(萌さん)

たくさんの想いを込めて作られたこの住まい。

お子さんの成長と合わせてどう変わっていくのか、これからが楽しみです。

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木が主役でも「山小屋」にならない。モダンとのバランスが絶妙な10畳バルコニー付き一軒家(静岡県 磐田市)|みんなの部屋

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静岡は西部に位置し、サッカーやラグビーなどスポーツのまちとして知られる磐田市。

日本らしい瓦屋根の住宅街に、突如として現れるのが、今回のO.Tさんのお住まいです。

一際目立つ、白いログハウスのような外観。戸建のお住まいを検討される中で偶然見つけ、一目惚れした、木の色合いが素敵なお住まいに伺ってみました。

名前:O.Tさん 会社員(土木現場監督)4人家族
場所:静岡県磐田市
面積とLDK:133.64m2 3LDK
家賃(非公表)
築年数と住宅の形態:築4年 戸建


お気に入りの場所

複数の天窓で自然光をふんだんに取り入れたリビング

「家族で過ごす時間が多いリビングだからこそ、居心地の良い空間にしたくて。

置こうと思っていたソファーなど、家具の位置は僕の方で図面を書いて決めていました」

とO.Tさん。ただ、最初は天窓という発想はなかったそう。

「だけど、結果として曇りの日でも部屋が明るく使えるので、とても満足しています」

天窓のうち、真ん中の窓は1階にも光が注がれるような設計

リビングに関わらず、明るさにおける重要なポイントになっています。

1番始めに構想していた、ウッドデッキのバルコニー

「敷地の関係で、設計前からバルコニーを考えていました。

広さとしては10畳ほどで、庭の代わりのような場所です。

春〜夏は食事をしたり、趣味の靴磨きをしたり、子ども達がプールをやったりと大活躍している空間ですね」

愛着ある靴を大切に維持・管理するためのシューズクローク

「僕が靴(特にREDWINGのブーツ)が好きで、たくさん所有しています。

そこで大容量のシューズクロークを用意して、お気に入りのスペースです」

「家族ひとりひとりスペースは分けているんですが、圧倒的に僕が広めですね(笑)」

この部屋に決めた理由

偶然見つけた見学会で一目惚れ


 
「新築を考えていた際に、たまたま浜松で行われていた見学会を見つけて。

どんなものか試しに行った際に住まいのデザインに惹かれました」

「元々は西海岸のような雰囲気の住まいを検討していたのですが、モデルハウスとなっていたログハウスの木の感じがとても良くて。

最終的には床も含めて木を中心の住まいにしてもらいました」

こちらは北欧やドイツでは一般的な「DK窓」と呼ばれる木製サッシ。機能性とデザインが魅力的です。

窓はエストニアから輸入したものが使われているそう。

リビングを広く、心地よい空間にしたかった

敷地は決まっていた中で、住まいの中でもリビングを大切にしたいという気持ちがあったO.Tさん。

「日当たりの良い2階にキッチンやリビングを置く提案を頂いて決めましたね」

残念なこと、気になること

コンセントの位置

「ソファサイドに間接照明用の床下コンセントが合ったら良かったなと思いますね。

最初に照明のことをそこまで考えていなかったので仕方がないのですが……。

コンセントがあれば充電も出来ますし。壁から持ってくると配線が気になるので」

植物が壁と同化してしまう

リビングダイニングの壁を板張りの壁にした事はすごく良かった反面、植物を飾った時に同化してしまうんだとか。

「ウンベラータなどの緑系はまだ良いのですが……」

確かに、葉が大きい植物以外、置きづらくなってしまいそうです。

お気に入りのアイテム

ビンテージの掛け時計

イギリスのメタメック社製だというビンテージの掛け時計は、元々雑誌で見かけたもの。

「詳しい情報がなく探しようがなかった中で、たまたま浜松のアンティークショップにあることを見つけて購入しました。

デザインが好きなのはもちろん、色合いも良くて、最近購入したものですがイチオシですね」

住み始めから大切にしている2つのソファー

この家で目立つのは何と言っても2つのソファ!

設計時から新しく買うことを決めていたソファだからこそ、納得のいくものを選ばれたとのこと。

テレビの位置から見て正面となるのはクラッシュゲートのレザーソファ

サイドには青の色合いが気になって三鷹の実店舗まで確かめにいったスウィッチのファブリックソファが。

「特にレザーソファは長く綺麗な状態で使いたくて。

子どもたちにもソファの上での食事や傷が付くようなことはしないように伝えていますね。

多少のシミなんかは味となって良いんですが、極力大切に使いたいなと思っています」

住む中でハマっていった花器類

「植物は最初、リビングのウンベラータだけだったのですが、僕がドライフラワーにハマってしまって。

花を購入するとそれにあった花器が欲しくなって、花器を探していると今度は逆に花器が増えて、それに合うドライフラワーを探して……と負のループみたいになってしましましたね(笑)」

「ドライフラワーはまとまりを意識して、花器に対して1種類だけに絞って飾っています」

ちなみに、花器で特に気に入っているのは、アクメファニチャーで購入した、やちむんの花器と、クロロスで購入したチーク材の花器だとか。

暮らしのHow ToやTIPS

家族と共に、歴史を刻める家具選び

家具選びのポイントは、新品だけどクラシカルなデザイン、革や木などのエイジングが楽しめる素材の家具にする事だそう。

ビンテージ感が強くなりすぎないようにしつつ、数十年後はリアルなビンテージ感が得られるようになるんだとか。

住まい全体の色合いを考えたコーディネート術

「リビングはログハウス風の板壁にしましたが、山小屋のようにならないよう天井は白の漆喰、室内ドアも白にしました。

板壁で全体が茶色になりすぎるので、サブのソファーやラグ、小物などにグレー系のブルーを挿し色として少し入れています」

これからの暮らし

子どもたちと考える家、可能性を広げる暮らし

「元々の家具の配置計画として今の状態にプラスしてシングルのソファーをひとつ置く計画をしていました。

今はまだ、子どもも小さく遊んだり走り回ったりするので、もう少し大きくなったら置きたいと思っています。

子ども達が使っているダイニングチェアーが、とりあえずで買ったものなので、大きくなったら自分達で選ばせて入れ替えたいですね」

「あとは、収納のデッドスペースをDIYで解消しながら、見えない収納部分の見直しもしていきたいです」

いつか叶えたい、子どもの頃からの憧れ

「立地を選べるのであればリビングからの夜景や四季の変化が見られる場所に憧れますね……。

それと、旅館の客室の窓際にあるスペース(椅子二脚とテーブルがあり一段下がったところ)が子どもの頃から好きで、今回がスペースが確保できずあきらめました。

もし次があるのなら、是非ほしいスペースですね!」

壁を板張りにした家はたしかに山小屋感が出がちです。

そんな中、採光や家具選びを通じて、モダンさを保ちつつ、温かみに溢れた住まいを作り出したO.Tさんには流石の一言。

時間が経つことでさらに味わいを増していくであろう家の様子が、これから既に楽しみなのでした。

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レトロな東京の下町に現れた、植物園みたいな「長屋の温室」の暮らし(京島)|みんなの部屋

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東京スカイツリーのある押上駅のおとなり、曳舟駅周辺にある墨田区京島。タワーマンションや大型スーパーが立ち並ぶ駅から離れると、風景は一変。

関東大震災や東京大空襲の戦禍を免れた、昭和初期の古い長屋が点在し、下町ならではの味のある街並みが広がります。

この京島で長屋をリノベーションし、2019年4月から観葉植物の販売・貸出・装飾を中心としたアートやプロダクトを発信するブランド『Green thanks supply』をスタートした小川武さん

「長屋の温室」をテーマにしたショップ兼温室は、小川さんの住まいでもありました。

名前:小川武さん
職業:{Green thanks supply}店長
場所:東京都墨田区
面積:1F 55㎡/2F 27㎡
築年数:不明(2018年〜リノベーション)
住宅の形態:店舗兼住居

お気に入りの場所

薄型シンクのあるトイレ

濃紺のタイルに囲まれた、落ち着いた雰囲気のトイレが小川さんのお気に入りの場所です。

両手を入れるといっぱいになる、超薄型のシンクが目を引きます。

「リノベーションする前は変なシンクがついていたので、このシンクに作り替えました。ドアの右側の壁とツライチにしています。

タイルは『toolbox』で買ったものです。ドアはリクシルですが、NHLという左官材を塗って仕上げています」(小川さん)

※NHLとは、“Natural Hydraulic Lime” の略称で、天然の水硬性石灰のこと。

トイレの窓際には、飾りも。

「この置物は古いパイプをリメイクしたもので、アムステルダムから持ってきました」(小川さん)

光の入る事務スペース

事務仕事をしているこのスペースも、小川さんのお気に入りの場所です。

イームズのチェアと一緒に使っているのは、「con.temporary furniture(コンドットテンポラリーファニチャー)」のデスク。

「『con.temporary furniture』はスイス発祥のブランドで、今はいろいろな国で販売しているんですが、生産国の表記を全て『made in here』としているんです。

その土地でとれる木材を使って地元の工房でつくられている、という意味で、僕が使っているデスクも日本の唐松の合板でできています」(小川さん)

デスク左側にある半透明の波型の壁は何でしょう?

「ポリカーボネート素材を使った採光材で、工場などの屋根に光を取り入れるために使われているものです。ショップと事務スペースを分けたくて、これを選びました。

半透明だからプライベートも守れますし、光も入って明るいんです。植物の影が映るところも気に入っています」(小川さん)

工場の屋根に使われているほどの素材なので、硬くて、軽くて、丈夫なのだそうです。

この物件に決めた理由

ご友人のすすめで、10年ほど前に中野から京島に移り住んだ小川さん

今は京島3丁目で暮らしていますが、2年前までは京島2丁目にあった平家を借りて住んでいたそうです。

当時サラリーマンだった小川さんですが、会社を辞めて「Green thanks supply」をオープンするに至ったきっかけはあったのでしょうか?

「大学を卒業してからずっと、インテリアプロダクトのメーカーで働いていました。楽しい会社だったのですが、入社してから10年くらい経ったときに、他の仕事もしたいなぁと思い始めるようになっていました。

一方で、もともと父親が観葉植物に関する仕事をしていて、僕も学生時代にアルバイトしていたということもあって、グリーンにも興味はあったんですよ。

観葉植物って、インテリアに必ず関係してくるもので、家具を並べて空間を作るときにはやっぱり植物が欲しくなる

そういう点では、僕が10年間やってきた仕事や感覚が観葉植物のジャンルでも生かせるんじゃないかと思ったんです」(小川さん)

時を同じくして、小川さんの背中を押すある出来事が起こりました。

「ちょうどその頃、墨田区による道路の拡幅工事の影響で2丁目の平家から立ち退くことになったんです。そこで大家さんから、半壊していて困っている物件があるんだけど、修理して借りないかというお話がありました」(小川さん)

その“困っている物件”というのが、「Green thanks supply」があるこの場所。もともとここには、印刷紙関連の裁断所と倉庫の2軒があったのだそうです。

「大家さんは、薬屋、裁断所、倉庫、ガラス屋の4軒の長屋を横並びで所有しているのですが、その中の裁断所と倉庫だけ何年も借り手がいなかったそうで……。

実際、屋根は抜けているし半壊状態だったので、ネズミや猫の住みかになって困っていたんです。かといって、その2軒だけ壊すわけにもいかないし、貸すにも古すぎて改築にお金もかかるからと悩んでいたんです。

僕も観葉植物の仕事をやろうかなとも思い始めていたので、思い切ってハンドルを切って仕事を辞めました。それが2017年の年末です」(小川さん)

その翌年の2018年はほとんど1年中リノベーション工事に費やしたと話す小川さん。プランニングを始めてから終わるまで1年以上かかった工事は、とても大変だったと言います。

「予算面でも大変で、デザインから工務店の役割まで僕がやって、工事業者が来るたびに全部対応していました

いやー、なめてました!でも、大変だったけど面白かったですよ」(小川さん)

そして、晴れて2019年4月に『Green thanks supply』はオープンしました。現在、1階はショップ、2階は住居として使っていらっしゃいます。

「テーマは、『長屋の温室』です。

植物園のようにしたくて、『2階の床を抜いて、3メートルくらいのヤシを入れるんだ!』と言っても、『何を言ってるんだろう?』みたいな感じで、父親にも大家さんにも工事業者にも伝わらなかったんですよ。オープンして、やっと理解してもらえました」(小川さん)

暮らしのアイデア

墨汁を混ぜて塗った壁

古い長屋が立ち並ぶ京島3丁目の中で、ひときわ目立っている『Green thanks supply』。

おもしろいことをしたいと思っていたので、アイデアを持って作りました」と小川さんが言うように、いたるところに工夫やアイデアが散りばめられていました。

「ショップの壁をグレーにしているんですが、これは安価な白い仕上塗材に墨汁を混ぜて塗っています。真っ白だと無機質な印象になってしまうので、それを避けたくて近所のお店で買ってきた墨汁を混ぜたんです。

予算が限られていたので、キッチン周りの壁は僕が、ショップの壁はプロの左官屋さんが塗りました。ラーチ材の木目とか、大工さんの手書きのメモが残っているのが好きなので、ラーチ材を残したところと左官したところがあるんです」(小川さん)

部屋を明るくするために採光を意識

「長屋は暗くなるので採光は意識しました。植物を育てるためにファサードは全部ガラス張りにしたので、そこから入ってくる光を室内に取り込むために、事務スペースと2階の住居スペースの壁はポリカーボネート素材を使った採光材にしています。

本当はこれより安くて軽い波板にしようと思っていたのですが、大阪と熊本の復興が終わっていなかったため材料が手に入らなかったんです。その結果、ポリカーボネート折板の採光材になったのですが、計画した通りにならなかった分、それも面白かったです」(小川さん)

残念なところ

自分で付け替えたコンセント

「ベッド脇のコンセントの位置を変えたくて電気屋さんにお願いしたのですが、今更できないと言われて、穴が空いても良いのでお願いしますと伝え無理を言って替えてもらいました。

もともとコンセントがあった部分には緑の養生テープを貼ったままにしているので、これは残念以外の何者でもないです(笑)。気が向いたら直したいのですが、直し方が思いつかないんです」(小川さん)

お気に入りのアイテム

ヒップホップのカセットテープ

事務スペースとベッドルームには、たくさんのカセットテープがありました

これは中古もありますが、ほとんど全てが新品。最近では、カセットテープで新作をリリースするアーティストも増えてきたのだとか。

「カセットの手作り感のあるジャケットが好きなんです。CDよりコンパクトで、おもちゃっぽくて、デザインが凝っているのがいいですね。

あと、僕はヒップホップが好きなんですけど、ヒップホップはカセットが一番かっこよく聞こえる気がします。表現できる音域が狭いので、ちょっと高めのラジカセで聞くと高音と低音がより強調されて、好きな音になるんです」(小川さん)

ショップでも事務スペースでも、ラジカセでテープを聞いているという小川さん。特にお気に入りなのは?と聞いてみると、ひとつには絞れないほど、どれも特別なようでした。

植物のシルクスクリーン

「植物のポスターを作って販売しています。写真は僕が撮影して、シルクスクリーンの作家さんにお願いしてプリントしてもらっています」(小川さん)

全部で7種類あるモノトーンのシルクスクリーンは、潔さと渋さが共存していて素敵です。

「ma products」のジュエリー

「ショップでも販売している『ma products』は大阪のジュエリー作家さんのブランドです。

もともと友人なのですが、単純にデザインがいいなと思って取り扱っています。大人の女性が付けられる甘すぎないデザインがかっこいいですし、植物との相性もいいんです」(小川さん)

真鍮やシルバーなどの素材感が生きたシンプルなデザインは、年齢を問わず付けられそうです。

「THE TICK」がクルクル回るフィギュア

アメリカのギャグ漫画『THE TICK』はダニのヒーローが主人公なんです。このフィギュアは僕が中学生の時に買ったもので、今も飾っています」(小川さん)

顎で絶妙なバランスをとって、クルクル回る『THE TICK』。愉快です。

学生時代に作ったブランコのスツール

2階の住居スペースにあった、ブランコをリメイクしたスツールは小川さんの自作です。

「美大生だったときに溶接して作りました。当時、アスレチックを作るバイトをしていたのですが、古いアスレチックを解体するときに遊具を産業廃棄物として処分するんです。

そのときに出てきた古いブランコを引き取って、スツールにしていました。『座面は生きている、座面はゴミじゃない』というコンセプトで100%再利用してスツールにして、友達にもあげましたね〜。ショップでも丸い座面のブランコのスツールを使っています」(小川さん)

これからの暮らし

2019年4月にお店をオープンしたばかりの小川さん。今後はこのお店を、もっといろいろな人が集まる空間にしていきたいといいます。

「多くのインテリアショップはインテリアがメインで植物もちらほらある、という感じですが、それとは真逆で、植物がメインで生活アイテムやジュエリーもあるショップにしたいと思っています。今後は8月に海外で仕入れてきたアンティークの絨毯や食器なども店頭に並ぶ予定です。

キッチンも貸し出しているので、料理を振る舞いたい方など、ご興味のある方にぜひ使っていただきたいです」(小川さん)

京島は今、味のある街並みに惹かれたアーティストやクリエイターが集まるエリアとしても注目されています。実際に、小川さんのように長屋をリノベーションしたショップを構える人も増えているそうです。

その潮流の中にいる小川さんと、小川さんのブランド「Green thanks supply」は、京島の古き良きものを守りながら街全体を盛り上げていく拠点になっていくのかもしれません。

進化し続ける「Green thanks supply」の最新情報は、ショップのインスタグラムをご覧ください。

Photographed by Natsuki Kuroda

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まるで倉庫! 「シンプルライフ」を目指す夫婦が作り出したコンクリート部屋(福岡県・那珂川市)|みんなの部屋

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博多駅から車で25分ほどで到着した、福岡都市圏のベットタウン・那珂川市

大通りから少し内側にはいった静かな住宅街の一角に、今回ご紹介する坂井さんご夫妻のお住まいがありました。

地元の美容院「enchante-アンシャンテ」の2代目としてお店を営む傍ら、お店のHPやSNSで「シンプルライフを目指す夫婦の暮らしや、好きなコーヒーのこと」について発信する坂井さんご夫妻のお部屋とは?

名前:坂井康城さんenchante-アンシャンテオーナー)、舞子さん
場所:福岡県 那珂川市
面積とLDK:77平米 2lDK
築年数と住宅の形態:分譲マンション(リノベ後1年) 
リノベ費:約500万

お気に入りの場所

倉庫っぽさを意識したコンクリート躯体

「倉庫っぽい住まいにしたくて、リノベーションの際に、強くお願いをしたのがコンクリート躯体です。建築構造を支える骨組みを、すべてコンクリートで統一してもらいました。

見た目も好みなのですが、家で映画やドラマを見る時にスピーカーの音が上手く反響してくれるので、実用面でも良いなと感じています。」(康城さん)

キッチン裏の作業スペース

「基本的にリノベーションに関しては、主人の構想に沿って進めたのですが、キッチン周りには私のこだわりもあって。

キッチン裏に椅子を置き、アクセサリーづくりが出来る作業スペースを作りました。」(舞子さん)

素足で歩くと気持ちの良いフローリング

床は当初あったものの上から、ほぼ椋に近い素材を敷いて使用。

そのため、冬でも冷たくなく、素足であるくととても気持ちが良いのだとか。

「僕は絵を描くのが好きで、大きな布に書くときには床で描くこともあります」(康城さん)

この部屋に決めた理由

お店から自転車で通える立地のリノベ部屋

店舗から10分圏内の物件を探していた頃、美容院のお客さんのひとりがリノベーション会社に勤めていると知りました。

そこで相談させていただき、さまざまな物件情報やリノベーションの費用感について教えてもらった上で、この部屋に決めたんです」(康城さん)

他に気になる物件もあったそうですが、そこは既にリノベ済みだったようです。

自分たちが住みやすい部屋に育てていきたい! という想いから、リノベーションができる部屋が良かったんです」(康城さん)

残念なところ

壁の装飾がしづらい……

壁面にピンが刺さらないことを、不便に感じることがあるのだとか。

「自分で描いた絵もテープ類で貼っているのですが……それだと、どうしても剥がれてきちゃうんですよね」(康城さん)

お気に入りのアイテム

朝と夜に、夫婦で淹れ合うコーヒーアイテム

「最終的にはネットで買い揃えたのですが、選ぶまではいろいろと見て回りました。

コーヒーを必ず、朝は妻が、夜は私が淹れるので我が家の必須用品なんです」(康城さん)



2人ともコーヒーを淹れるのが好きなのだそう。

舞子さんの作業スペースは、ふたりが朝晩のひとときを過ごすカフェスペースでもあるようです。

映画「かもめ食堂」で一目惚れしたお鍋

キッチン用品がすごく好きで。美味しいご飯を食べられるようにと拘っています。

中でも、私がとても好きな映画『かもめ食堂』の中で出てきたイッタラ(鍋)はデザインもさることながら、使い勝手も良くて、とても気に入っています。」(康城さん)

持ち手が蓋のオープナーとしても使えるとのこと。これなら鍋が熱い時でも、開けやすいですね。

暮らしのアイデア

仕切りをなくして、リビングを広く

「生活の中で1番多くの時間を過ごすリビングだからこそ、極力仕切りは無くしました」と話す康城さん。

元々は和室だったスペースも、ふすまを取り除くことで、シアタースペースにしたのだとか。

空間が広くなると、心にもゆとりが出来そうです。

収納術に頼らないという意識

元々はアンティーク小物などが好きで、物に溢れた生活を行なっていたという康城さん。

「熊本地震があった時に、安全面について考えて。暮らしに不必要なモノは、なるべく手放していくようになりました」(康城さん)

収納を工夫し出すと、ものが増えても良いという気持ちが出てきてしまうことから、収納術を考えなくて良い物選びをするように、常々2人で心掛けているとのこと。

玄関の靴棚にも、康城さんと舞子さんの靴がそれぞれ1段ずつに収まるような靴選びをしているようです。

これからの暮らし

自然豊かな環境で、庭遊びを楽しむ

「部屋の物を増やしすぎず、空間を広く楽しんでいければと思います。

ただ今はマンション住まいのため、どうしても周りの住まいとの兼ね合いで暮らしに制限があります。もし今後どこかへ引っ越すことがあれば、BBQなど自由に出来る庭があると良いですね。

ペットも飼いたいし、なんか見えたら良いなぁ。」(康城さん)

「空が広く綺麗な星空が見える住まいに憧れます。実は今の部屋に決める前は、物件条件をルーフバルコニーにしていたこともあったんです。」(舞子さん)

試行錯誤な「シンプルライフを目指す暮らし」が、今後どのように変化していくのか。

もしかしたら、部屋をシンプルに整えていくことで、新たに見えてくる暮らしの楽しみ方やこだわりがあるのかもしれません。

できれば数年後にまたふたりのお部屋に訪れて、暮らしを聞きたい。そんなことを思う帰り道なのでした。

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一人暮らしDIY男子の“抜け感”のある暮らし(大田区)|みんなの部屋

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気づけば10月、引っ越しシーズンです。まさに今、新生活をはじめるにあたり、次のお部屋を探している人は少なくないはず。

今回お会いしたGinさんが、今のお部屋に決めた決め手は「何もない箱だったから」とのこと。一体どういうことなのでしょうか。

興味を惹かれ、その真意を探りに行きました。


お名前:Ginさん
住宅スペック:1R(27平米)
職業:不動産系
場所:大田区
家賃:非公開
築年数・形態:約30年・マンション

お気に入りの場所

自ら手がけた、キッチン横のコーヒーテーブル

「昔からコーヒーを淹れるのが好きで。

内見で、このキッチンの緑のタイルを見たときから、ここをコーヒースペースにしたいな~と思っていました。自分の背丈に合わせて作ったので使い勝手も良いです」

使い勝手も良いベッド下の本棚

本棚もGinさんお手製。

「ベットに腰掛けたときに、ちょうど本を取りやすいんですよね。雑誌や文庫を並べても窮屈にならないように、少し大きめに作りました」

この部屋に決めた理由

何も決まっていない、真っさらな空間

「就職を機に上京が決まったので、ネットで職場に近い物件をいくつか見ていました。

その中で出会ったこの部屋の、がらんどうで、何も手を加えられていない感じにワクワクしたんです。前々から、自分で手をかけて作っていける部屋に住みたいと思っていたので」

前は賃貸のアパートに住んでいたというGinさん。スタンダードな間取りで、よくある雰囲気の部屋を「つまらない」と感じていたそうです。

残念なところ

春ですら冷たい足元

「住み始めた春の時点で、材質のせいか足元の寒さを感じていて……冬はかなりキツそうです」

寒くなる前に、足元の防寒対策が必要かも。

日中でも感じる暗さ

「コンクリートの壁で窓がひとつのため、日中も中々明るくはなりませんね。

これは仕方ないので、お気に入りの照明を楽しむようにしたいと思います。」

お気に入りのアイテム

BOCHやアラビアのカップ

ベルギー王室にも取り立てられる名門磁器メーカー・ROYAL BOCHと、北欧を代表するテーブルウェアのブランド・ARABIAのカップは、デザインが好みでお気に入りなのだとか。

「お気に入りのカップがあることで、コーヒータイムがより楽しめるんです。」

海外の蚤の市で購入した品々

旅行が趣味だというGinさん。

「旅先では、現地のマーケットや蚤の市へ積極的に参加するようにしています。それぞれに思い出があるので、どれが1番とかは決められないですね……。」

お気に入りのアイテムと余白がセンス良くディスプレイされた棚が、印象的でした。

個人的には、こちらのルームスピーカーのデザインが特にツボで「ほしい……!」と痺れてしまいました。

krank marcelloのライト

以前、福岡で購入したkrank marcelloのライトです。雰囲気はもちろん、高さが調整出来る機能面が気に入っています。

暮らしのアイデア

ものは増やしすぎず、管理できる範囲に収める

「良いと思ったものしか買わないようにしていますが、購入後に、やっぱり必要ないと感じたものは、すぐにメルカリ等で売ります。

部屋にあることが把握できるくらいのモノに囲まれて暮らすのが、ちょうど良いんです」

空間の密と疎を意識すること

空間が窮屈にならないよう、余白や抜け感を意識して、インテリアを配置したり、ディスプレイを並べたりしているようです。

コツはに集中させる空間と、何も置かない空間を分けること。

消耗品は木箱などにまとめて収納し、目につかないように工夫されていました。

これからの暮らし

床は無垢材に統一して、足元に温かみを

「底冷えするので、フローリングを無垢材に変えたいと思っています。今の住まいはもちろん、今後どこかへ引っ越した場合にも、床は無垢材に統一したいですね」

アンティークな雰囲気を大事にしつつ、利便性も追求

「今の好みの雰囲気は保ちつつ、暮らしやすさを追求するためにホームテックを取り入れる予定です。

古いものや、思い入れのあるアイテムは大切にしつつ、暮らしを快適にしてくれる、新たなテクノロジーも上手に取り入れていくことで、理想の住まいに近づけられたら。」

まだ始まったばかりのGinさんの「理想の部屋づくり」。この部屋にGinさんが手をかけることで、冬、春、夏、秋と、どのように変化していくのでしょうか。

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驚異の離職率3%! 個性派集団BEAMS社員が「会社に属する」選択をするの、なんで?

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ぼくたちの生活に深く、身近に関わるさまざまな企業やブランド。

でも、そのブランドが生まれた背景やフィロソフィー、社会に対する想いって、あんまり深くは知らないような……。そしてそこには確実に、ぼくらの暮らしにまつわるヒントが隠れているはずだ!

そんな特集「ブランドとフィロソフィー」 今回は、他の追随を許さないクリエイティブな発想と遊び心溢れるマインドで時代を牽引するBEAMSの、コミュニケーションディレクター・土井地博さんにお話を聞いた。 

土井地博
1977年、島根県生まれ。BEAMS コミュニケーションディレクター。大阪のショップスタッフを経て、メンズPR担当として上京。現在は、コミュニケーションディレクターとして、ヒトとヒト、モノとコトを、さまざまな企業やブランドとのコラボ企画などを通じてつなげる。また、「フジロックフェスティバル」をはじめとする音楽イベントやアートイベント、出版物の企画のほか、現在はラジオ番組「BEAMS TOKYO CULTURE STORY」のDJも務める。

『BEAMS AT HOME』はどうやって生まれた?

ーーROOMIEでも「みんなの部屋」などインテリアにまつわる連載企画が人気で、BEAMSで働くみなさんの部屋を紹介する『BEAMS AT HOME』シリーズを愛読している読者も多いと思いますが、そもそもシリーズが生まれたきっかけは何だったのでしょうか?

「実はちょっとしたエピソードがあります。以前、雑誌『BRUTUS』の自転車特集が組まれた際に、BEAMSから誰かを紹介してほしいと声をかけられたんです。

ディレクターやプレス、バイヤーなどが出演する機会が多いのですが、僕は、社内STAFFが共有しているコミュニケーションツールで自薦他薦問わず応募を募ることにしたんです。すると、500件以上のリアクションがあった。

最終的に選んだのは、見た目にはまったく自転車が好きとは想像できなかった内勤の女性スタッフ。京都の老舗店のフレームに、VANSのワッフルソールでできたBMXのグリップ、海外で買ってきたラゲッジなんかを自分でカスタムしていて、意外性のすべてを持っていかれました

で、掲載されると、その子にとっては一生の思い出になるんですよね。編集部にも『よくこんな子見つけたね』なんて言われたし、僕としても、社内のいろんなひとを巻き込んでひとつの企画ができた実感があった。同時に、これ、一番BEAMSらしいんじゃない?って思ったんです。

そのような経験が多々あり、より多くのスタッフにフォーカスしたい気持ちで、『BEAMS AT HOME』をつくることにしました」

「スタッフの個性が会社をつくっている」

ーーそんなエピソードが発端だったとは。だから、単なるインテリア本ではなく、スタッフのライフスタイルを拾い上げるような内容になっているんですね。

「釣りでも、音楽でも、マラソンでも、なんでもいいから、ライフスタイルのクリエイターになれ、とよく話しています。

実は、社内でこんな動画をつくっていて……


およそ2分間の動画には、BEAMSで働くスタッフたちが、休日にツーリングを楽しんだり、SNSで好きなことを発信したり、店舗のウィンドウに絵を描いたり、思い思いに暮らしを楽しむ様子が詰まっていた。

社員を紹介する動画って、まず働いている風景を映してから、実はこんな趣味があります、と紹介するのが通常の流れだと思います。

ただ、BEAMSらしさって、オン/オフの区切りがない状態なんです。休日に自転車に乗るのも、家族で過ごすのもオン。個々のライフスタイルを活かして働くのも、そのままオンなんです。

『努力は夢中に勝てない』なんて、うちの代表はよく言っていますが。『BEAMS AT HOME』でも、スタッフの個性が会社をつくっていることが非常にわかりやすく表れているはずです」

個性の中に存在する“BEAMS”らしさ

ーーそのように誰もが個性的であると同時に、うまく言葉にできない“BEAMSっぽさ”みたいなものも一貫して感じられます。

「そうですね、『お前BEAMSっぽいよね』っていうのは、働いているスタッフにとっては褒め言葉かもしれません。

その『ぽさ』っていうのはそれぞれで違っていて、かつ、なんとなく似ていて共存してる。そこが面白いんですよね。モード、ストリート、トラッドなどスタイルはあれど、みんなBEAMSなんですよね。共通するのは、なんとなく楽しそう、ということかもしれません。

うちのスタッフって休日も気持ち悪いくらい一緒にいるんです(笑) しかも、家族や友人ぐるみで。それって、BEAMSで働くスタッフが、その周辺にいるひとも含めて面白いし、共通の価値観を持っているからだと思います」

ーー共通の価値観とは?

「たとえば、『千円、3千円、5千円、1万円それぞれで美味しい鮨屋を友達にオススメせよ』ってお題、面白くないですか?

たぶん僕らって、『3万円以下の鮨なんて、鮨じゃない』なんて言うひととは合わないと思うんです。『千円でこんだけ美味いとこがあるんだよ』っていう提案をできたり、それを聞ける耳を持っているかどうかが、共通している価値観だと思います。

だから、目先の利益より、BEAMSで生まれるひととのつながりに価値を置いていたり、将来の期待を抱いているひとが多いのかもしれない。離職率が3%と非常に低いのも事実ですし、たとえBEAMSを一度離れて別の環境に身を置いても、それほど経たないうちにここに戻ってくるスタッフも少なくありません

“働く人が幸せなこと”を大切にする

ーー自分の会社に誇りを持ち、好きだと言える。言葉にすると簡単ですが、なかなかできることじゃないですよね。

「モノ・コト・ヒトをつくる集団でありたい、これはBEAMSが常々考えていること。なかでも、ここで働くひとたちがいかに幸せか、を真ん中に据えています。

いまでこそ働き方改革なんて叫ばれるようになりましたが、僕たちはもう40年以上前からそれを実現しようとしているんです。社内では『ハッピーライフソリューションカンパニー』なんて標語もあります」

ーー創業から変わらない考え方もありつつ、時代に応じて変化させていることもありますか?

「原宿の本社オフィスでは、ひな壇でミーティングができたり、テラスで朝ヨガができたりと、働く環境における新しい試みは行っています。

ただ、決して、欧米の真似をして形だけ取り入れればいいと考えているワケではありません。働き方における考えがまず土台にあって、それを具現化するためにスペースを用意してあげる。その前提がなにより大切だと思っています」

半歩先の情報を届ける

ーー話は変わりますが、ECやAI、SNSなどが急速にアパレル業界を変えつつあります。そこにも、BEAMSならではの接し方はありますか?

「EC、アウトレット、駅ナカと、いまは販路もさまざまであればお客さんもしかり。とはいえ、会社として基盤にしていることはやはり変わりません

『ビッグマイナースピリット』という言葉があります。プロの目線ではなく、より生活者の目線で、いまのトレンドや定番とはちょっと違った提案をすること。しっかりとプロ意識は持ちつつ、ただ、提供する情報は“半歩先くらい”のものにする

ーーたしかに、憧れの存在であってほしいけど、あまりにかけ離れているとリアリティーがありませんよね。

「ECやSNS、AIなどについてはどうしても否定的に語られがちですが、僕は好きだし肯定的に見ています。実際、ここ何年かで飛躍的にひととひととの距離を近づけているのは紛れもなくAIやSNSですからね。

ただ最後には、信頼できるスタッフによる後押しや、体験が必要だと思う。そういう意味でも、やはり、うちのスタッフにはなにかに夢中でいてほしいですよ」

ーー会社としての、これからの目標はありますか?

「世の中を楽しく、幸せにする集団でいたいと思っています。BEAMSっていうドアを開けたら、昨日より楽しくなったじゃん、と思ってもらえるような。

このところ代表がよく言っているのは、ある駅に降り立ったとき、十指に入りたい、と。カフェにも行く、ネイルもする、映画も観る、BEAMSにも行くし、あそこにも行くし……。と、多種多様な選択肢があるライフスタイルのなかに、BEAMSも入っていければ嬉しいです」

働き方の選択肢が急速に増え、会社に属さずにやりたいことができてしまう現代。BEAMSで働くスタッフたちのように、秀でた個性をもってすればなおのことです。

そんななか3%の離職率が表すのは、まぎれもなく、そこにいることの面白さや未来への期待値の高さでしょう。上も下もなく、オンもオフもなく、スタッフの個性を受け入れて伸ばすBEAMSならではのスタンスが、それを支えているのだと感じました。

Photographed by Yutaro Yamaguchi

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イケアが考える「家がよくなれば、人生も社会もよくなる」って、どういうことですか?

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2018年には全世界の小売売上高が348億ユーロ(約4兆1000億円)に達し、コワーカー数は約16万人

そんなインテリア業界の巨人、イケアは「より快適な毎日を、より多くの方々に」を掲げ、そのビジョンを実現するために、スタートとなるデザイン方針はもちろん、販売に至るサプライチェーン全体にまで自らのスタンスを明確にしています。

その根源的な意図はどこにあるのか? イケア・ジャパンのカントリーマーケティングマネジャー、Anna Ohlinさんへのインタビューから見えてきた考え方は、「家がよくなれば、人生も社会もよくなる

果たして、これは一体どういう意味なのか? 昨年は招待を受け、スウェーデン・イケア本社を取材した筆者が伺いました。

5つの要素をクリアしなければ発売しない

イケアと言えば、「デザインが良くて、とにかく安い」イメージが先行し、そのフィロソフィーにはあまりフィーチャーされないのではと思っています。改めて、ゴールとして目指すビジョンを教えてもらえますか?

「『より快適な毎日を、より多くの方々に』というビジョンがイケアにはあります。

しかし、創業当時の1940年代には、いいデザインは限られた人々のものであって、一般的な人には手の届かないものでした。加えて、低価格=デザインがあまりよくない、品質があまり高くない製品が主流だったと思うのです。

でも、低価格でもデザインが素晴らしくて、品質が良くて、機能性も高いモノがあるべきじゃないか、と」

「そこで生まれたのが、『Democratic Design』(デモクラティック・デザイン=民主的なデザイン)というデザインフィロソフィーです。

イケアでは、どんな商品を開発する時も、『形、機能性、品質、サステナビリティ、低価格』の5つの要素を満たす必要があるのです。

なので、商品をデザインする時に、デザインチームはこの5つの要素を必ず守ります。たとえば低価格なら、消費者に届く時には500円を目指す、などですね。

そして実際に開発してみて、『価格はいいけど、環境に負荷をかける』など、5要素を満たせなかったら、満たせるまで開発を繰り返します。販売はそこをクリアしてからです」

家がよくなれば、人生もよくなる

徹底されていますね。その要素の中では、家具・雑貨である以上、形=デザインは特に重要なように思えます。

ただ、「デザイナーズ家具」と呼ばれる製品群が設計家の感性に基づいて作られることが多いのに対し、イケアはリサーチを重視する企業であるように思えます。

例えば、2016年から毎年「LIFE AT HOME」と呼ばれる調査を始めていますね。2万人を超える世界各地の家々を訪ね、人々がどんな希望や要望を持っているかをリサーチしている。これは、重視するものが違うからでしょうか?

「ええ。私たちにとって、『より快適な毎日を、より多くの方々に』が一番大切なので、リサーチは一般の方々のニーズや夢を知るために行います。

そもそも、私たちは、『家がよくなれば、人生もよくなる』と強く信じているのです。課題解決をすることで、家も、人生も改善していくことができるはず」

しかし、「家がよくなる」「より快適な毎日」とおっしゃいますが、非常にあいまいな定義です。それは一体どういう状況を指すのでしょうか?

「確かに『より快適な毎日』の定義は人によって違います。でも、たとえば私にとっては、家に帰ればハッピーになれたり、ありのままの自分でいられたり、リラックスできたりすることです。『ふぅ〜』と一息つけることと言いますか。

いま日本人はとても忙しく、睡眠時間もどんどん少なくなっている。都市化しているから、マンションのように限られた空間にパーソナルスペースを築かなければなりません。

だけど、家は自分が100%に回復できる場所であってほしいのです。日本は他国と比較すると、実はホームファニッシングに対する関心が低いのですが、その分、解決できる課題はたくさんある可能性が高い。

たとえば、少し整理整頓してみれば、片付けの時間が減ってストレスが少なくなるし、精神的にもリラックスできる。たとえば、家族が集まりやすいスペースを作れば、コミュニケーションが増えて、理解し合える機会が増える。そういった暮らしの中の快適さを、イケアは一緒に作っていきたのです」

家から社会に余裕が生まれる、フェアになれる

それが社会に与える影響はあると思いますか?

「はい。一人一人がホームファニッシングを充実させることで、さきほどのようなストーリーが生まれれば、社会にも好循環が生まれると思っています。

たとえば、子どもが散らかしたレゴがキレイに収納されれば、ママの機嫌がよくなるかもしれない。そうすると、パパもいつもより早く仕事を終えて家に帰るようになるかもしれない。結果として、家族で一緒に楽しめる時間が増えるかもしれない」

そうやって生活がしやすくなると、愛が生まれやすくなる。夫婦は家事をフェアに分担するようになるかもしれません。それを見て子どもが育ち、次の世代で社会に浸透していく。

もちろん、こんなに単純に物事は進まないとも思っているのですが、全ては繋がっていくと思うのです。少なくとも、スウェーデンは大体そういった流れでした。

だんだんと専業主婦が減っていき、働いているパパとママが平等に生活をするようになり、それを見て子どもが育っていった。家から変わったのです」

では、家でのストレスが減り、幸せな時間が増えれば、たとえば仕事の環境も改善すると思われますか?

「もちろんです。全て繋がっているのですから。部屋がよくなれば、仕事だってよくなる

家で満足している、家でいい生活ができる、楽しい時間がある、1人の時間がある。お気に入りの家具と過ごせる、ソファで家族と過ごせる、幸せになる。

そうして、家の外に出る時には、その幸せな気分が『ついてくる』と思うのです。だから、仕事でもフレンドリーになれたりする。『BETTER LIFE AT HOME, BETTER LIFE AT WORK』ですね」

それこそ1人1人に余裕が生まれることで、社会にも余裕が生まれるということでしょうか?

「まさにそういうことです! そんなムーブメントが生まれて欲しいですよね」

取引先のワークライフバランスも守られるべき

引用:IKEA カタログ 2020より

その反面、イケアは低価格を押し出していますね。通常、大手メーカーが低価格を押し出すと、サプライチェーンに負担がかかる。たとえば、材料調達をする企業に原材料費の値下げを要求したり、工場が環境に配慮するコストを下げざるを得ず、大気汚染や土壌汚染に繋がったり。

しかし、イケアはそれを防ぐために、サプライヤーに対して「IWAY Standard」と呼ばれる約束事を定めていますね。これについて教えてください。

IWAY Standardはイケアのサプライチェーンの行動規範です。児童労働させないとか、フェアトレードであるとか、環境汚染をしないとか。

もっと身近な例では、サプライヤーで働く従業員の労働環境をチェックしています。これは契約時だけにチェックすることではありません。普段の業務においてもなのです。

たとえば、私たちはマーケティングのためにエージェンシー(広告代理店)と仕事をしますが、彼らがIWAY Standardを守れないのならば、契約はしません。

イケアと仕事をする以上、彼らのワークライフバランスも守られなければならないのです」

「ただ、これには彼らもビックリしていましたね!(笑) でも、イケアにとって一緒に働く方々は、Us and them ではなく、Weなのです。

『BETTER LIFE AT HOME, BETTER LIFE AT WORK』は自分たちだけではなく、全てのサプライチェーンにも適用されるべきこと。

そして、私たちイケアの社員がまずそのことを体現しなくはいけない。でなければ、取引先もマネできないですからね」

イケアに入ると最初に言われる一言とは?

引用:イケア公式サイト 商品ページより

非常にポジティブですね。実は、今日の取材に向けてイケアの思想を凝縮した一冊、「IKEA DEMOCRATIC DESIGN」を読んできたのですが、この中には3つの単語が頻出します。「挑戦」「失敗」「反骨精神」です。

デザインや機能性、品質を高めれば、必然的に価格は上がるはずのに、それを下げる、しかも環境負荷を減らし、取引先の環境までケアする。イケアの挑戦はまさしく常に行われているように感じます。そういった企業文化があるのでしょうか?

「ええ。イケアに入ると最初に言われることがあります。それが、『いっぱい失敗してください』です。失敗は怖くないし、恥ずかしいことでもありません。

実は私も昨日、社内でコミュニケーションの失敗をしました。悔しいけれども、周りからはハッピーに認められています。

もちろん、『よかったね!失敗して!』というテンションではありませんが、『いい失敗だったね』と受け入れられているのです」

個人的な感覚では、日本はいま、経済的な先行きが見えないこともあり、失敗にポジティブになることが難しい社会になってきているのではないのかと感じるシーンがあるのですが、イケアでは真逆のように感じられますね。

「私たちは80%でいい、と言っていますから。それに、豊かでなくなっているといっても、やはり世界的に見たら日本はとても豊かな国ですよ。その幸せを理解できたらいいですよね。

私個人としては、自分の幸せについて、本当は毎日考えるべきだと思っているのです。

たとえば最近知った考え方で、家に帰ってご飯やお風呂を終えたら、毎晩、『今日嬉しかったこと3つ』をノートに書く。小さくても、具体的な嬉しかったことを書く。

ランチがおいしかった、同僚とこの瞬間とても笑った、家で娘と一緒に宿題して『よく分かったね!』と喜び合った。

そういう毎日のスモールハピネスに気づけるようになれれば、ポジティブになれる。

そして、イケアは家を通じて、そういった小さな幸せを一緒に作る親友のような立場でありたいと思っています」

イケアのスタンスはポジティブなだけでなく、倫理的にも感じられます。どうしたら、そのように在れるのだと思いますか?

「私たちには最初からビジョンがあり、目的があったから、倫理観も自然と生まれたのだと思います。

悩んだ時には、いつもビジョンである『より快適な毎日を、より多くの方々に』に帰ってくればいい。

そして、そのビジョンを実現するために、Democratic Designの『形、機能性、品質、サステナビリティ、低価格』を追及すればいい。

いくら環境が変わっても、会社が変わっても、そこだけは変わらない私たちのフィロソフィーなのです」

Photographed by Kaoru Mochida

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「原状回復ではなく、原状を超えていく」MAD Cityの自由すぎるまちづくりのフィロソフィー

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生活を送る上で、どんな家に住むのか以上に、どんな街に住むのか、も大きな問題になってきます。

でも、私たちが暮らしている「街」って一体何なんでしょうか?

例えば都会に賃貸物件を借りたらご近所付き合いなんてたまに挨拶をする程度で、気にすることといえば、迷惑にならないようにゴミ出しのマナーを気をつけるとかそれぐらい。

多くの「街」ではそんな風景が普通になっているように思います。

でも、それって本当に理想的な「街」のあり方なんでしょうか?

そんな常識を打ち破る、とんでもなくクリエイティブな「まちづくり」をしている人たちに、千葉県松戸市で出会いました。

「MAD City」って?

話を伺ったのは、「(株)まちづクリエイティブ」代表の寺井元一さん。

松戸駅西口を主としたエリアで、「MAD City」というまちづくりプロジェクトを運営しています。

松戸駅西口の風景

DIYを前提に物件を貸す不動産業や新規事業のサポート、国内外からアーティストの制作を支援するレジデンスづくりなど、多岐に渡る活動をしています。

取材にお邪魔した「MAD City gallery」

彼らが、開始当初から掲げているのが、以下の7つのヴィジョン。

・クリエイティブな自治区をつくろう。
・刺激的でいかした隣人をもとう。
・地元をリスペクトし、コラボを楽しもう。
・変化を生み出そう。新しいルールを発明しよう。
・仕事場も住居も、DIY精神で自由に創造しよう。
・河辺でも通りでも駅前でも、街を遊びつくそう。
・東京のみならず、世界とどんどんつながろう。
(引用:MAD Cityとは https://madcity.jp/concept/ )

どれも普通の街とは全く違う方向性のものばかり……。

なんでそんなまちづくりができるのか? どんなことを考えてやっているのか……?

寺井さんに質問をぶつけてみたら、わたしたちの暮らしを豊かにするヒントが見えてきました。

まちづくりとは、自治区をつくること

そもそも何をやろうとしているのか?と聞くと、

「MAD Cityがやろうとしていることは、自分たちでクリエイティブな自治区をつくろうっていうことです」

と寺井さん。

メインの事業は不動産業ですが、それはあくまでも「クリエイティブな自治区を作る」という目的のための手段でしかないといいます。

「収入による入居審査」や「原状回復」の概念は存在しない

ROOMIEの「みんなの部屋」で過去に紹介した古平賢志さん・万歳夏恵さんの暮らす部屋もMAD Cityの物件。
部屋中を自由にDIYされています。©︎Norihito Yamauchi

MAD Cityの取り扱う物件はDIYが可能なものばかり。

賃貸物件によくある、収入状況による入居審査や、入居後、破損させてしまった箇所を元に戻す原状回復の義務がないといいます。

とはいえ、物件を貸すには、何かしら審査をする必要があるはず。

どういった仕組みになっているのかと聞くと、帰ってきたのは驚きの答えでした。

「入居者に求めているのは、クリエイティブマインドがどれくらいあるか。だから家賃が払えるか、収入の保証を見るのではなく、ポートフォリオを見て判断していきます。

その人が家をいじっていくこともウチの価値なので、どんな改装をするかによって、僕らのビジネスが上がるか下がるかが決まってくる。大家は僕らになるので、解体されたらさすがに困る、とかはあるんですけどDIYの自由度はかなり高いですね。

実際に、DIYをした入居者が退去した後、新たな入居者が借りる時には、家賃は上がっています。

他の不動産業の賃貸物件において、常識である『与信』まったくしないですし、『原状回復』っていう概念もありません。そもそも、僕らには原状を超えていくっていう概念しかありませんからね

住人がそれぞれのライフスタイルを開発する

DIYの具体的な事例は50〜70ほどあるそうで、中にはIKEAに勤める住民によるものや、大工さんが新しい工法を試してつくった物件もあるのだとか。

まちづクリエイティブのオフィスも古い木造家屋をリノベーションして作られている。

そのなかでも寺井さんの印象に残っている物件を尋ねたところ、信じられないような事例もちらほら。

工場を貸したら、その中に小屋を建てて、そこを小さい家として使っていた人がいました」

「工場は暮らすことが想定されていないので断熱とかもされていないし、夏はめちゃくちゃ暑い。

でも、ものすごく自由な空間。本人はそこを面白がって、住んでみたくなったみたいです」

工場の中に小屋を作った物件

「小屋の中だけは断熱して、エアコンも設置するっていう工夫をしていましたね。実際に部屋を見に行ったら、工場の天井に洗濯物がたくさん干されていたんですよ。

『なんであそこに洗濯物干してるの?』って聞いたら、『いやぁ、なんかあそこ、めっちゃ乾きいいんすよ』って。

そりゃあ、そうじゃないですか(笑)。だって、すごい熱な訳ですから。

でも、工場の屋根の部分がめっちゃ洗濯物が乾くスペースになる、なんてことは僕は計算できていなかった。彼自身も、たぶん計算できていなかったんじゃないんですかね。

これって、ライフスタイルすらも開発しているような話じゃないかなって思うんです。

実際に手を動かしてみて、手数を重ねていくことで、初めて気がつくものこそが、クリエティブなんじゃないかなと。

自分たちなりに、インプットを入れ続けながら、試行錯誤していくみたいなことが大切だと思っています」

あえてリスクをとる

「僕らは松戸を『実験室』とか『研究室』だと思っているんです。

『まちづくり』においては、アイデアを試すことは、リスクがとても大きいことなので、それ自体がとても難しい。

でも、クリエイティブにおいては、やったことがある人にしか分からないことって、たくさんあるじゃないですか。

実際にやってみたらちょっと思うようにいかなかったこととか、そこから発明が生まれるみたいな話があるし。さっきの工場の中に小屋を建てた人の話もそうだし。

僕らは、まちづくりを通してそういうことをやろうとしていますし、松戸をそういう風に捉えています」

住居を自分の手で作る過程のなかでは、当然失敗してしまうことも少なくないはず。

失敗すれば自分の住環境が悪くなるだけじゃなく、貸す側が損害を被る場合もあるはずで、だからこそ一般的な賃貸住宅には原状回復義務がある。

でも、あえてリスクを取ることで現状を超えていくMAD Cityの姿勢が、そこに住む人のクリエイティビティを触発しているのかもしれません。

出入り自由な人の集まりから文化が生まれる

2010年の活動開始以来、クリエイティブな場所やモノが生まれる土壌を築いてきたMAD Cityですが、意外なことにコミュニティデザインのような取り組みは、あまり積極的に行っていないのだそう。

MAD Cityが行っているのは、既存のコミュニティみたいなものに入って仲良くしていくのではなく、あえてそこから適度な距離をとり、「自分たちで出入り自由な人の集まりをつくる」こと。

「僕らは、イベント箱みたいな物件をひとつ持っているんですけど、そこではDJイベントが結構行われています」

レンタルスペース「FANCLUB」

「その箱で、たくさんイベントをやっているのが、地元の60代くらいの人たちなんですよ。

一方で、いまの若い世代は、高校生ラップ選手権とか、フリースタイルダンジョンとかの影響もあって、ラッパーが増えています。

60代のDJのイベントに、20代のラッパーが参加する、みたいなことが実際にMAD Cityでは起きていますね。

世代の垣根を越えて、一緒にバック・トゥ・バックしたりとか。その箱で月に3〜4回はイベントやって、一緒に遊ぶようになっていますね」

「地元の60代くらいの人たちがDJになった事の起こりは覚えています。もともとウチはお神輿が入ってくる神酒所と呼ばれる場所を事務所にしていたんです。地元の人たちは、ちょっとした飲み会などはその神酒所でやるんですね。

そこで、一緒に忘年会をしていた時に、誰かが持ってきた余っていたミキサーがあったんですよ。僕らは持っていたノートPCを2つ並べて、ミキサーを繋いで、音源を両方から掛けて、右から左にフェーダーを切るっていうのをやっていたんです。

そしたら、50代とか60代の人たちにすごくリクエストされるようになって。ファンクから始まって、『アース・ウィンド&ファイアー』とか、その世代の人たちの曲をいっぱい掛けろって言われるんですが、僕らは知らない。

しびれを切らしたのか、『俺たちがやる』って言い始めて、最終的には彼らにPCすら乗っ取られてしまいました。その後、PCを貸していた人が『俺、PC DJのコントローラー買っちゃった』って(笑)

ニューヨークのブロンクスでレコードからヒップホップが生まれた例がありますけど、なんか、それの日本のおじさん版みたいなものを見た気がしました。

すごい話なんですけど、これが文化の起こりだなあ、と思いましたね

人間の可能性を最大化する「まち」

「まち無しに生きていける人って、ほぼいないと思うんですよ。

基本的に、まちづくりって生活圏をつくるっていうことじゃないですか。

生活圏が自分の人生にいちばん影響を及ぼすんだろうな、とも思っています。だから、自分がどんな街にいるのかっていうことが、自分の幸せっていうものをかなり変えるんだと思います。

ここ数年、MAD Cityでは、クリエイティブな尖ったお店がたくさん出店するようになってきました。その中には、週末限定でお店を開くチャレンジレストランのようなものも出てきています」

「自分が何かをしたいと思った時に、後ろ向きな力がかかることと、後押しをしてくれる力がかかることがありますが、それは、その人の人生を大きく左右するんじゃないかなって思うんですよね。

それはまちも同じだと思っていて、自分のやりたいことが叶うまちもあるし、叶わないまちもあるんです。

僕の中でですが、人間の可能性とか、やりたいことを応援する・しないというのが、まちのいちばん重要な機能だと思っています。

MAD Cityとか、ぼくらのまちづくりにおいては、そういうことを最大化するためにやっていますし、そのために、僕らは、まちを扱っているのです」

MAD City

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スノーピーク山井梨沙が語る「人間性の回復はなぜ必要なのか?」

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先日、知人の女性がポロッとこぼした言葉があります。

「いま、instagramで300人しかフォロワーがいない個人ブランドが好きなんですけど、私の友人たちはフォロワー30万人のブランドを支持していて。

本当にその個人ブランドを好きだと思っていいのか、分からないんですよね。なんだか、自分がズレているんじゃないかって」

スマートフォンとSNSが普及し、ブランドの人気がフォロワー数として数値化されることで、浮き彫りになった不安。

とてもミクロなレベルからですが、自分が好きなものですら、「これはいいものだ」と自信を持って判断することが難しい世の中になってきているのだろうか……?

そんな疑問を抱いた時、すぐにあるデザイナーの顔が思い浮かびました。

人間性の回復」をビジョンとして掲げるアウトドアブランド、スノーピークにおいて、デザインのトップを務める山井梨沙 代表取締役副社長です。

以前のインタビューで、「情報に流されずに自分の正しさに忠実であることって、すごく難しい」と述べていた彼女からなら、何かヒントを得られるかもしれない。

そんな小さな疑問と思いつきから始まったこのインタビューは、学校や都市、自然と文明についての思考を巻き込みながら、スノーピークの核となる「野生」という横顔を照らし出していきました。

なぜ、「人間性の回復」がいま必要なのか?

「その話、ものすごく分かりますよ! というか、私が人生で、そしてスノーピークでずっと考えてきたことそのものです」

経緯をお話しすると、すぐに山井さんはそう仰いました。ほっと胸をなでおろしながら、早速本題へ。「人間性の回復」を掲げてきたスノーピークですが、そもそもなぜ、「人間性の回復」がいま必要なんでしょうか?

やっぱり、本質的に正しいと思えることを自分で判断して行動できる人が少なくなっていると私は思います。先ほどのSNSの例もそうですが、資本主義的なフィルターの中で、常識や規則、世間のようなものに囚われてしまいがちというか」

それが、人間性が失われ始めていることであると。

「はい。たとえば、自分が生身の人間で、何もない状態だとして、目の前に置かれた物事Aがあるとしますよね。それを世間一般は『いいもの』として扱っているけど、Aは本当にいいものか悪いものか? 自分で考えて、自分の意思で判断を下せる人って少ないと思うのです。

私は『人間性』や『野生』について考えることが多いのですが、『野生』とは、人間に本来、備わっているはずの自分で判断する能力だと考えています。そして、『野生』がある人のことをスノーピークでは、『アウトドアパーソン』と呼んでいる。

そして、スノーピークの役割とは、まさにこの『アウトドアパーソン』を増やすことだと思っていて。実は来季のカタログのテーマも『野生』なんです」

野生を取り戻すことが、そのまま「人間性の回復」に繋がるワケですね。野生と人間性はかなり近いキーワードのように感じます。

学校・教育・規則の中で、野生が失われる

では、そもそもなぜ、野生・人間性と言いますか、「自分で判断する能力」を人は失っていくと思われますか?

「これはあくまで個人的な意見ですが、学校教育や広告は一つありそうですよね。たとえば学校は、人を世の中の常識に合わせるための存在だとも思えます。そういったものによって、少しずつ野生は失われていくのではないでしょうか。

ものすごくプライベートな話になってしまいますが、私は小学校2年生から学校が苦手だったんですよ。一般的に言ったら劣等生というか、全く高学歴ではない」

そうだったのですか。しかし、一体なぜ小学校2年生から……。かなり早い段階だと思われますが。

「子どもながらに、おかしいと思った事件があって。そのきっかけになった大人は、子どもに対して全く責任を持とうとしていないと感じたんです。そして、同時に思ったことは、普段付き合っている大人たちと明らかに違う、ということ。

私は当時から、父(編注:現在の山井太社長)の同僚たちとよくキャンプをしていて、自然との関わりかたを教えてもらったり、反面、自然の怖さを知ったりしてきて。彼らは一般論で物事を判断しない大人たちでした。そしてそこでは、自分が違和感を感じたことには、無理して合わせなくてよかった。しかし、学校では、それが通用しない。

だから、高校も苦手でした。とても些細な校則を守らないだけで、人格否定までされたこともありましたから。それも規則だから、守らなくてはいけないものだから、守る、というようなもので。

当時、私は子どもでしたけど、あくまで自分の責任感で生きていました。人として生きる上で守らなければならないことと、本当は守らなくてもいいと思うのに、規則や常識、世間体からやっていることを見極められるようになりたかった。

でもやっぱり、「私はズレている」とすごく思ってしまったんですけど、スノーピークに入ったらそう思わなくなりました。なぜなら、スノーピークでは、自分が正しいと思っていること=会社が正しいと思っていることになったからです」

それはいったいなぜでしょうか? 梨沙さんはかつて、いわゆる「コレクションブランド」で働かれていて、それがイヤになったと仰っていたことがありますね。それと関係ありますか?

「そうですね……そのブランドは一言でいえば、『愛がなかった』。服は着られて生活が豊かになることが一番大切だと私は思うんです。その意味で、そのコレクションブランドは着る人のことを全く考えていませんでした。そのブランドで働く人同士も、お互いのことを全く考えていないように感じました。

たとえ業界的に評価をされているブランドだとしても、やはり生身の人間を愛することとかけ離れていたのが私には苦しかったんです。だけど、スノーピークではその違和感がすんなり受け入れられた。それはおかしいよ、と。自信になりましたね」

「スノーピークらしさ」とは、本質を考えられること

創業者の山井幸雄氏

しかしながら、スノーピークでは、梨沙さんのお祖父様、そしてお父様にあたる方々が代々アウトドア「ギア」を中心にやられてきた。アパレルを大きな事業として立ち上げることを、批判されなかったのでしょうか?

「それが一切なかったんですよ(笑) もちろん、事業計画として、『いくら収益が見込めるから、いくら投資したい』といった話はしましたが、それ以外は全くない。理由としてはおそらく、自分の進め方が『スノーピークらしい』と認められたからかもしれません」

スノーピークらしい……それは一体どういう感覚なのでしょうか?

『スノーピークらしさ』とは、AとBの選択肢があるとき、本質的に正しいと思える方を選ぶこと。もしないならば、Cの選択肢を作ることです。私の場合、自分が最初に作ったアパレルのコンセプト『HOME⇄TENT』がまだ世の中に存在していない概念でした。

それまでのアウトドアメーカーのウェアは、アウトドア専用か、アウトドアウェアとしてのスペックを減らして、ファッションとしてのウェアに重きを置いたモノかのどちらかであることが殆ど。その中で、街とアウトドアを接続させる発想が、スノーピークらしいと認められたんでしょうね」

まさにCの選択肢を作られたワケですね。先ほどの野生や人間性、アウトドアパーソンの条件としての「自分で判断する能力」は、まさしく「スノーピークらしさ」と直結しているとも捉えられますね。

なぜ、都市や現在の逆をいくのか?

遺跡でのキャンプイベントは日本初だった

ちなみに、ここ数年は、岩手県北上市で開かれた「LOCAL LIFE TOURISM in KITAKAMI」(ROOMIEでは縄文キャンプと呼んでいる)のように、都市から離れて地方に行き、また現在から離れて縄文という過去に向かわれています。これは一体なぜでしょうか?

「生身の人間としての関係は、地方や自然の中での方が豊かになると考えているんです。現代における都市では、秩序や序列みたいなものがお互いの『鎧』のようになってしまっていると思います。

少し話が逸れるようですが、芸術人類学者/神話学者の石倉敏明さんという方がいらっしゃって、彼曰く、日本人が定住し、稲作文化を築くよりも前、狩猟採集文化によって移住しながら生きてきた歴史の方が長いそうです。その中で人は火を囲み、煮炊きをして生きてきたから脳を進化させられたのだ、と。

だから、私はDNAとしてはその方が自然だし、テントを張って焚火を囲むキャンプを、人が求めるのは当たり前なのだと納得がいったんですよ」

まさしく、岩手県北上市でのイベントでは、それを体感することが目的でしたよね。夜に焚火を囲んでスノーピークの方々や、知らないお客さんと話した時、その鎧がなくなったような気がしました。しかし、逆にですが、人間は原始に戻るべきだと考えられていますか?

「いえ、決してそうではありません。文明の良さとは『責任感』だと私は思っています。人が原始の状態にもどったら、そこも失われてしまいますから」

たしかに、法律もないですからね。殺人や暴力、窃盗などの行為もOKになってしまいますし。その点で都市で文明の利点を謳歌しながらも、アウトドアにわざわざ行ってしまうのは、その重すぎる鎧を脱いで深呼吸をするためなのかもしれませんね。

新ブランドが目指す、「豊かな自然に似合う服」

いま梨沙さんはアパレルの現場を離れ、デザインは若手デザイナーが行なっているそうですね。しかし、そんな中で2020年から新ブランド「yamai」を始められる。この新ブランドでは、どんな服作りにフィーチャーされたいのでしょうか?

「本来、人間も自然界の中の一部だったと思うのです。しかし、文明が発展する中で人間だけが自然の枠組みから外れてしまった。私は、服作りも同じだと思っています。服もすべて自然から生まれたものなのに、その中で『自然である服』から外れていってしまった」

スノーピーク・アパレルでは「野良着」にフィーチャーしたアパレルも出されていますけれど、その理由に近いものを感じますね。

「野良着は日本最古のアウトドアウェアだと思っていて。外で働くために、その土地のもので、その土地の人が、その手で紡いだもの。それを着る、そういった豊かさをyamaiでも取り上げていきたいのです」

--帰り際に渡された、yamaiのコンセプトを記したシートには、「豊かな自然に似合う服」と書かれていました。

訪れた土地で自然の原風景や風土を想う。自然と人、人と人とのつながりを感じる。人間も自然の一部だということに気づく。

山井梨沙さんにとっての「豊かさ」とは、究極的には自然と人、人と人をつなげることとも言えるのでしょう。

そして、その最中で、人間に本来備わっているはずの自分で判断する能力、「野生」を取り戻す。ビジョンである「人間性の回復」とは、どんな時もスノーピークの中心にある焚火のような存在なのかもしれません。

Interview Photography is by Kaoru Mochida

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レシピの価値はなくなってきている。「秘伝のレシピ」を公開してしまう菓子店、romi-unie

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「お菓子」 この言葉から連想するのは、どんなものでしょう?

クッキーにチョコレート、ケーキやスコーン……。いつだって甘くきらきらした、魅惑的で特別な食べ物たち。

仕事に行きたくない朝も、恋人と喧嘩した夜も、一口かじればいつだって、霞んでいた世界が彩りを取り戻すような気さえします。

でも、決まってこうも思うのです。

「こんな何でもない日に、贅沢をしてしまった……。」

そんな私の罪悪感と凝り固まったイメージを変えてくれたのは、あるひとつのお菓子屋さんでした。

作るよりもやりたかったのは「伝える」こと

少し歩けば海が広がり、見上げれば山々が臨む神奈川県・鎌倉。

そこにお店を構えているのがジャムと焼き菓子のお店「Romi-Unie Confiture」です。

お話を伺ったのは、代表であり菓子研究家としても活動されているいがらしろみさん。

フランスで学んだフランス菓子をもとに、2002年より「お菓子作りの楽しさをひろめる活動」を行うかたわら、2004年に鎌倉にジャムの専門店をオープンされたのだそう。

常時50種類が並ぶジャムの瓶は、まるで宝石のよう……。

幼少期からお菓子作りに魅了されていたいがらしさんですが、はじめは菓子店でアルバイトとして販売の仕事に携わっていました。

しばらくして製造部門に入り、ある時、気がついたのです。

「実際にやってみると、思い描いていたものと自分の感覚が違って……。

お菓子についてもっと知りたい、もっと仕事にしたいと思うけれど、悶々と作り続けてることが自分にフィットしなかったんです。」

では、どのようなかたちでお菓子と関わりを持ったらいいのか?

「手を動かすよりも、お菓子を販売して『このお菓子はこういうものですよ』とお客様に紹介するのがすごく楽しくて。

お菓子の良さや歴史を知りながら、人に伝えたりすることのほうに面白さを感じたんですよね。」

地域に根付いた菓子文化。フランスでのジャムとの出会い

お菓子についてさらなる知識と経験を求め、フランス・アルザス地方へ2度の渡仏。

手を動かしてお菓子を作る以外に、お菓子の良さを伝えるための仕事を模索する日々の中での出会いが彼女の運命を変えました。

「アルザスの地方菓子についてもっと知りたいなと学ぶ中でわかったのは、土地と文化と歴史とお菓子がとても密接に関わっていること。

アプリコットやプラムなどフルーツが豊かな土地であることもあり、ジャムを作るのがすごく盛んな地域なんです。

マルシェで買ってきてジャムを作ったり……そういうのが、すごく楽しい経験だったんですよね。」

「ジャムと聞くと、ただフルーツだけを煮たものってイメージがありますよね。

でもフルーツを組み合わせたりスパイスを足したり、お酒をちょっと入れたりとすると急にフワッとお菓子みたいに味わいが広がっていくんです。

簡単に家でも作れるけれど、まるでフランス菓子のようになる

食べるシーンも朝食だったり、ランチのヨーグルトにちょっと添えたり、デザートのアイスクリームにちょっとかけたり……。なんだか、すごくいいなジャム、って。」

帰国後は菓子研究家として活動をするなかでジャムのレシピを考案し、イベントにてジャムの販売をスタート。

楽しさだけでなくお客様からの反応もついてくるようになり、鎌倉での出店を決めたのだそう。

アルザスでのジャムとの出会いがきっかけとなり、今のRomi-Unie Confitureに繋がっていました。

特別ではない、日常に寄り添うお菓子を

Romi-Unie Confitureのオープンから4年後、東京・学芸大学に新しく構えたのは焼き菓子を中心に取揃える「Maison romi-unie」。

「お菓子屋さんって、やっぱりお誕生日のケーキみたいな”ハレの日のお菓子”が多くて。

でも、あらためて自分が作りたいお菓子を考えたときに、誰かと集まってちょっとお茶と楽しむような……焼き菓子みたいな日常的なお菓子が頭に浮かんだんです。」

「お菓子を食べるシーンを自分の生活に置き換えてみると、ハレのシーンって年間に数回しかないんですよね。

それよりも、日々の楽しみをより豊かにしたい気持ちが強くありました。」

Maison romi-unieにはサブレやケイク、スコーンなどの焼き菓子が並びます。

1点からでも購入できるスタイルは、お菓子を日常に取り入れるハードルをぐっと下げるような、まさに日常に寄り添ったかたち。

ちなみに、Romi-Unie Confitureから少し離れたところにはもう1店舗、秋冬のみ限定でオープンする「Chocolaté romi-unie」が。

「毎日作っていると飽きてしまう、職人に向かないタイプの私が唯一ずっと楽しいと思っていたのがチョコレート作り(笑)。

だから、チョコレート屋さんは将来やりたいってずっと言い続けてて。

いわゆるドアマンがいるような、敷居の高いショコラティエではなくて……。ビスケットにチョコレートがかかってるみたいなカジュアルなチョコレート菓子のお店をやってみたかったんです。」

食べる、作るの循環がスタイルに

実は、お店で販売しているほとんどのレシピを公開しているromi-unieのお菓子たち。

いわゆる“秘伝のレシピ”をオープンにしてしまう懐の深さに驚きその理由を伺うと、意外な答えが返ってきました。

「やっぱり私の根本にあるのは、菓子研究家としての活動。

いくらおいしいレシピを公開したところで『本当においしいのかな?』と思うだろうし、実際にどのくらい作ってくれているのかも未知数でした。

せっかくおいしいレシピがあるなら、まずは食べてほしい。」

「お店の価値としては、やっぱり誰か上手にできる人が作って形にしているところ。

そうすれば『このレシピおいしいのかな?』って食べてみることもできるし、『このクッキー、おいしいから自分でも作ってみたいな』って作ってみることもできる。

そういうふうに自然にサイクルが生まれるのがいいなと思うんです。」

「特にジャムって、家庭では意外と作らないですよね。

でも実は作ってみるとけっこう簡単で、でも買うよりすごくおいしいのができるんですよ。だから作ってみてほしい!」

「レシピサイトやSNSが出てきて、レシピの価値ってどんどんなくなってきてるんじゃないでしょうか。

だったら『自分が作ったのに……』みたいに執着するよりは、お菓子を日常的に楽しんでもらうためのサイクルが生まれるようなromi-unieならではのスタイルを確立するほうがお店の価値になってるかなって。

楽しんで作ってもらったあとに、出来上がった手作りのお菓子をみんなでシェアして食べていただくシーンをいつも思い浮かべています。」

おいしいものができたから、誰かに、みんなに食べてほしい。ある意味で自分の功績に固執しないその姿は、お菓子への深い愛情から成るものでした。

もちろん公開されているレシピを使えば、同じようなお店を始めることはできるかもしれません。

だけれども、日常的にお菓子を食べる・作る……といったサイクルを生み出せるのはromi-unieにしか成し得ない新しいスタイルなのではないでしょうか。

手軽だからこそ、一瞬を大切に

romi-unieのお菓子がもっと日常に寄り添えるように。より多くの人に、より長く届けられるように。

これから先も、romi-unieは進化を続けます。

「食べ物って、お洋服や旅行よりもっと手軽に、おうちのなかで楽しめるものじゃないですか。

一方で、やっぱり食べられるタイミングや量が限られているからこそ、その価値を大切にしながらきちんと手をかけておいしいものを作っていきたい。」

「いいものとそうじゃないものを見分ける審美眼みたいなものって、意外と食べ続けるとわかるものなんです。

どんな人が食べてもおいしいって感じてもらえるように、ジャムも焼き菓子もチョコレートもより一個一個おいしくできるように。

ちょっとずつだけれどもみんなでレベルを上げていきたいですね。」

鎌倉と共に続いていく

お店をオープンしてからは、ご自身のお住まいも鎌倉にあるのだそう。

ふと気になり、拠点となる場所に鎌倉の地を選んだ理由をたずねてみました。

「引っ越してきたら海もあって、山もあって。

帰り道、『あ、梅の花が香ってきた』とか『夕焼けが今日もきれいだね』とか、道で会って『ちょっとうちでごはん食べてく?』とか(笑)。

自然や人付き合いを感じずにはいられない毎日が、すごく気持ちがいいんです。

そういう日々の暮らしの楽しみを気がつかせてくれたのはアルザスでの生活だし、鎌倉でそういう生活を送ることが私にはより豊かに感じられたんですよね。」

特別な日だけではなく、日常に寄り添い、ほんの少しだけ彩ってくれるお菓子。

いがらしさんは「まだまだアルザスには及ばない」と仰っていましたが、ジャムも焼き菓子もチョコレートも、鎌倉の土地と文化に根付き始めているように感じました。

5年先、10年先、ともすれば100年先まで……。この鎌倉の地で、romi-unieのお菓子が脈々と続いていけばいいなと願わずにはいられません。

romi-unie

Photographed by Kosumo Hashimoto

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「流されて放浪するのも悪くない」BOTANIZE・横町健さんに学ぶ“好き”と“やりたいこと”への向き合い方

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みなさんは「塊根植物」ってご存知ですか? 



グリーン好きの人なら「当たり前だ」と笑ったあとに、目をランランと輝かせて、その魅力を語り出すかもしれません。

そう、実は今、インテリアグリーン界には空前の塊根植物ブームが到来中!

塊根植物とは多肉植物の一種です。マダガスカルや南アフリカなどの乾燥地帯で育つように進化した植物で、根や幹が貯水タンクの役割を果たすよう肥大して木質化しているのが特徴。

個体の希少性も特色の一つで、例えばこの「オペルクリカリア・パキプス」と呼ばれる塊根植物は、なんと42万円相当!(鉢植え込み)

しかしながら、そのなんとも言えないユニークでまあるいフォルムの愛らしさに、心を打ち抜かれて塊根フリークになる人があとを絶たないのだとか。

立役者といえば、この人

そんな塊根ブームを日本に巻き起こしたのが、今回お話を伺った愛称aneakenさんこと、横町健さん

自身が代表をつとめる株式会社anea design(アネアデザイン)で、エキゾチックプランツショップ「BOTANIZE(ボタナイズ)」の経営はもちろん、カフェの運営や、アパレル企画の作成・販売もされています。

Instagramでは自身の手がける様々な企画やライフスタイルを発信し、2019年10月現在で2万人のフォロワーに支持されているインフルエンサーでもあります。

BOTANAIZEの屋上温室

VANSUNITED ARROWSなどの著名ブランドやセレクトショップとコラボをするなど、他の植物店ではみない活動も精力的に行っているBOTANIZE。

今回、ブランドに「現代への向き合い方」を伺っていく本特集「ブランドとフィロソフィー」で横町さんに話を伺っていく中で見えてきたのは、「流されることの大切さ」でした。

好きなことの追求は、自分だけの人生の贅沢

「BOTANIZE」ではアパレルとコラボしたアイテム制作やイベント企画をされてますよね? 植物店としては珍しい活動だと思うのですが、何か狙いがあるのでしょうか。

「この塊根植物というヘンテコな存在をもっと多くの人に知ってもらいたいからです。元々それが狙いでBOTANIZEを設立したので。

植物屋さんとしての展開のみだと、植物好きしか来てくれませんよね。でも、アパレルブランドやアーティストとコラボすれば、もともと塊根植物に興味がなかった人も触れてもらえる機会が生まれます」

「たとえば、UNITED ARROWSさんとのコラボイベントである『UNITED ARROWS EXOTIC PLANTS LOVERS EXHIBITION BY BOTANIZE』でも、実際に洋服を見に来たアローズのファンが、なにこの植物? 面白いからひとつ買って行ってみようみたいな流れが起きていて。

そんなふうに塊根植物に触れるきっかけをどんどん作って行ければいいなと考えています」

なぜ「BOTANIZE」は、植物の中でも塊根植物に特化されたのでしょうか。何かビジネス上の戦略が?

「BOTANIZE」 x 〈Vans(ヴァンズ)〉 別注スニーカー

「いいえ。単に、何より僕が塊根植物を大好きだからです(笑)。僕の根底にある仕事に対する想いって、自分自身が楽しんでいたり愛していたりするものをお客さんにすすめたいということ。

だって心から好きなものじゃないと、本気でお客さんにおすすめできないじゃないですか。なのでコラボしているブランドやアーティストさんも、BOTANIZEとしてというよりも僕が個人的に大好きなブランドや人。全く知らないところや人とコラボすることはまずないですね」

「やっぱり、好きだからこそ気づけるニーズってあるので。たとえば、あんまり丸くなくて枝ぶりが悪い塊根植物を安く売ったところで、ウチに来てくれるようなお客さんは長く愛せないと思うんです」

横町さんが手に持つパキポディウム・グラキリスは鉢と合わせて、なんと約44万円相当

「だったら値段が高くても、厳選された良い個体だけをセレクトして提案させてもらったほうがお客様も失敗したってことにならないんじゃないかなと。それは、僕自身がそうなので」

「なにより、僕のサービスを通して、みなさんに自分が好きなものをひとつでも多くみつけてほしいんです。

誰でも自分が本当に好きなものを見つけたら、そのために一所懸命になれるじゃないですか。僕自身が塊根植物を好きになって、それで起業までして、知り合った友だちも多くいる。

植物に限らず、僕の場合はカフェの経営でも、車でも、大好きになったから得られた機会や出会いが多くあるワケです」

自身が塊根フリークである横町さんが植物をセレクトする目は厳しい

「だからこそ、人それぞれ、自分の好きなことを一生懸命に追求していくことこそが、その人だけの人生の贅沢を生むのかもしれないって、個人的には思ってるんですよね」

流されていい。ぶつかったものにそのつど向き合えばいい

好きなものが増えれば増えるだけ人生は豊かになる、ってことでしょうか?

僕はそう思います。たとえば植物は仕事に連れていけないので、朝晩の家にいるときや休日に全力で愛でる。昼は一時間ブラジリアン柔術のクラスがあるので、その時はそこで全力を尽くす。

そのあと事務所に戻ってきたら、また切り替えて仕事に全力で取り組む。そんな毎日の積み重ねで、僕は人生が豊かになっていると感じますから」

そうなのですね。ただ、現代って自分の“好き”に自信を持つことって難しいような気もするんです。

たとえば、やっと“好き”を見つけても、そのフォロワーが300人だったりすると、「私のセンス、他人から見たらおかしくないかな……?」と、自分の好きに自信が持てず、多数の好きに流されてしまったり……。

どうしたら、自分の“好き”に自信を持って、まっすぐ追求できるんでしょうか?

他人の目が気になるうちは、まだ本気で好きじゃないのかもしれませんね。

恋愛と同じだと思うんです。本気で好きなら、他人とか関係ないじゃないですか。その好きを発信することが怖いなら、まだそれは本当の好きじゃないのかも。

それに、もし好きなものがわからなくて流されてしまうって思っているとしても、流されたら流されたでいいじゃないですか。

流されるうちに、あの人のアレいいなって思うものにぶつかって、そのうちそこにどっぷりハマって、そこから自分なりのスタイルができあがっていくことだってあるんじゃないですか」

「誰かの真似でもいいんです。まずは触れることが大事。たとえば、僕は良くも悪くもスマホ中毒で、もっと楽しいことはないか? もっと自分がハマれることはないか?って放浪しまくってるんですよ(笑)

夜中の3時に、イイネされたアカウントのアーティストを見て、気になったらとりあえず一枚そのアーティストの絵を買ってみる、なんてこともあるくらい」

「そもそも塊根植物にハマったのも、たまたま知り合いのアパレル事務所に行ったときにパキポディウムと呼ばれる塊根植物の一種があって。

もともと僕は小さいころ、父の影響でサボテン大好き少年だったので、懐かしいな~と思ってひとつ譲ってもらったんですね。それで育て始めてみたら、昔の植物へのトキメキが溢れ返してきて!」

「それから一気に集め出してみたら、塊根植物って、おんなじ種類でおんなじ品種で、おんなじ属であっても、枝の本数も違うし、葉っぱの特徴や株の丸みも一つひとつ全然違う唯一無二のものばかりなんですよ。

『うわっ……この個体丸くて、枝が短い……もっと丸いのないのか?』なんてことを繰り返し、気付けば今です(笑)」

「そんな感じで僕には常にそのときどきの好きなものがあって、それらのおかげで楽しく生きてこれた。だから、僕にとっての幸せのカタチは、いわば究極の公私混同なんですよね」

植物に小学校時代にハマり、一度離れて再度ハマるまで30年くらいの隔絶があった横町さん。もしかしたら、私たちにも昔好きだったなあと終わらせているものや、流されていく中で、今から熱中できるものがあるのかもしれません。

植物には育てる楽しみがある

では、好きになるのはなんでもいいということですが、その中でも特に、横町さんが塊根植物にハマった魅力って何なんでしょう。

「塊根植物には、その造形を見て楽しむアートとしての面と、毎日育てるという生き物としての面の両方があるんですよ。

もちろん見てるだけでも楽しいんですが、育てるってすごい気持ちが入るじゃないですか。

実際、朝起きて見て元気がなかったり万が一枯れたりなんてしていたら、めちゃくちゃ悲しいんですよ」

「僕には娘がいるんですが、子どもが出来て人生観変わったなって感じます。

人って子どもでもペットでも、自分以外に大事なものができると『どうしたら喜ぶかな?』とかっていう、今までの自分の軸にない考えや行動が生まれるんですね。

塊根植物は持つっていうよりも飼うとか育てるっていう感覚なんで、そこがとことんハマってしまう理由なのかも」

実際に塊根植物好き同士だと、自分の鉢を「この子」と言って可愛がる人も多いのだとか。ある意味子どものような感覚で愛でている人たちが少なくないのかもしれません。

ちなみに、高価な塊根植物ばかりではなく、なかには3000円から、なんてものも。ペットはなかなか飼えない環境や状況でも、塊根植物をひとつ取り入れることは比較的簡単なのも魅力なのでしょう。

全力で放浪すれば、繋がるものがあるかもしれない

では最後に、自分の“好き”とかやりたいことに自信をもてない方に何かアドバイスをいただけますでしょうか?

「まずは目の前の仕事を全力で楽しもう、でしょうか。これは僕が普段から社員に言っている言葉です。一度全力でやってみた結果、楽しくなかったらやめればいい。

ただそのつど、目の前のやるべきことに全力で向かうことで開ける縁や、見つかる“好き”が、きっとあると思うんです」

「たとえば、僕自身は学生時代の居酒屋バイトが楽しくて、そこでお客さんの名前やファーストドリンクを全て暗記していたら、学生ながら副店長を任されるようになって。

それで飲食店の経営に興味が出て、実際に店の売り上げを倍にできたことで、自分の作った店を持ちたいなんて夢ができたり……。

それから10年、国内でカフェをひらくために必要な修行をする中で、店舗の設計や内装施工の勉強もはじめたら、そういうデザイン自体も好きになって……」

「そんなふうに僕自身、そのときそのとき流れ着いた場所で、やるべきことを全力で楽しんだことが全て繋がったからこそ今があります。

だから好きなものに出会うべく、ふらふらと放浪しながらも、縁があって目の前に来た仕事ややるべきことには一度全力で向き合ってみてはいかがでしょうか。そこに好きのヒントがあるかもしれません」

塊根植物にはひとつとして同じ個体がないように、わたしたちのあり方の選択にも正解なんてないように思います。好きだからこそ仕事にしないのも、好きだからこそ仕事にするのも、きっとそれぞれにとって健やかな“スタイル”。

ただどんな選択をするにしても、まずは自分の“好き”に出会えるチャンスを探してみること、そのために、とにかくたくさん流されること、そして何より流された先で、そのつど全力で向き合うこと。

BOTANIZEのあり方、そして横町さんのあり方が教えてくれたことは、激流のような現代を生きる一つのヒントになるのかもしれません。

あわせて読みたい:特集「ブランドとフィロソフィー」




Text by Yowami Asada
Photographed by Kaoru Mochida
Configured and Edited by Kakeru Noda

儲かるかより、面白いか。モンベル辰野社長が掲げる、ユーザーの夢の叶え方

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ROOMIEでも特に人気のある、国産アウトドアブランド、モンベル

国内のアウトドアシーンにおける圧倒的な知名度を誇り、フィールドに行けばそのブランドロゴを必ず目にしますよね。

モンベルは2017年に社長が交代し、現在は辰野岳史さんが取締役社長を担っています

そんな辰野社長に話を聞く機会を得たROOMIE編集部。せっかくならばと、SNSをつかって読者から集めた「モンベルに聞いてみたいこと」をぶつけてみました

優れたコストパフォーマンスを叶える方法、新しいジャンルへの進出、海外と日本のアウトドア事情など様々に話が拡がっていくなかで、モンベルが信じるユーザーの夢の叶え方が分かってきたのでした。

辰野岳史(たつのたけし) 1976年生まれ 大阪府生まれ
株式会社モンベル入社2000年2月コンシューマ営業部所属
専務取締役2007年12月就任
代表取締役社長就任2017年9月1日

価格?品質?どっちが大切なの?

本日はよろしくお願いいたします。

さっそくですが、質問の中でも多く見られたのが「モンベルが製品に対して大切にしているののは品質なのか、価格なのか」といった質問でした。他のアウトドアメーカーよりも比較的手に届きやすい価格なのに、品質も優れているモンベルでは、どちらを重視しているのでしょうか?

そこは品質ありきですね。価格は結果としてついてくるものなので。コストに関しては度外視してるわけじゃないんですけど、モンベルとしては『良いモノを・安く・親切に』という3つのコンセプトのもと製品を世に送り出しています。

当たり前ではありますが、良いモノであっても手に届かなければお客様のためにならないし、安いだけで使い物にならないのもダメだから。ですので、その枠の中から我々ができる最善のモノづくりをした結果が、今の価格に繋がっているんです」

“当たり前”とおっしゃられましたが、安く製品を提供することをそう簡単に言い切れるものなのですか?

「わざわざ高くするような選択肢を、モンベルでは絶対にしないですね。

意味があって価格が高くなるのは勿論良いと思うんです。我々の製品の中でもフラッグシップの素材を使って世に出すモノだったりすると、価格が非常に高くなることもありますし。

でも、モンベルなりの意味や意義が感じられないモノに、高値を無理につけることは絶対にありません

なるほど。読者からも「製品のコストパフォーマンスが他のアウトドアブランドと比べてとても高くてうれしい」といった声が寄せられています。一体どうやって価格と品質のバランスを実現しているのでしょうか?

「簡単に言うなら、製品の発想からデザイン面から素材の開発まで、すべて自社で行っていることですかね。一般的なメーカーさんだとそこには商社が入ること多いと思うんですが、その場合にはマージンが発生しますよね。

我々はこのオフィスビル全てに各部署のセクションがあるんです。例えば生産部隊であったり、輸入部隊であったり……。生産に関しては外国で協力してくれる工場があるんですけど、そうした行程のほとんどを自社で済ませられる。これが要因として大きいんじゃないかな。

そういった細かい積算が圧縮され、ノウハウが蓄積されて、リーズナブルなモノづくりに繋がっているんだと思います」

農林漁者向けアイテムも作ってるけど…?

ここからはコストパフォーマンスから少し外れて、製品開発に関してお伺いしたいと思います。モンベルは農業・林業・漁業といった、いわゆる一次産業に携わる方々向けのアイテムも独自で開発していますが、そのきっかけを教えて下さい。

「一次産業に関わるようになったのは、我々の事業の拡大の中でいろいろな地域との関わり合いがでてきたからなんです。

例えば北海道の東川町にお店ができたんですけど、そこのお客様には農家の方々がいました。皆さん普段の農作業時にモンベルの製品を使ってもらっていたのですが、やっぱりアウトドアでの使用と違うところが傷むんです

我々のノウハウが活きるのって、やっぱり登山などのアウトドアスポーツなんです。だから片膝をつく、うねを通る、収穫をする……なんてすると、摩耗する箇所が変わるのは当然のことで。

しかしご要望さえいただければ、その先のモノづくりは得意とするところなので、『ならばそれ用のモノを頑張って作ってみようか!』となるのも自然なことなんですよね」

そこに携わる人たちへの支援を第一に考えている、ということでしょうか?

「より快適にカッコよく一次産業を楽しんでもらいたい気持ちも当然あるのですが、本音を言うと“興味”なのかもしれません

勝機があるとかないとかよりも、モンベルの製品を普段から使ってもらっている方々に、もっと良いモノを試してもらいたい、という興味

驚く顔が見たいっていうのかな。『あ、この機能欲しかったんだよ!』って言ってもらえるようにはどうしたら良いのか?と、ずっと考えているんです(笑)」

読者の中にはそういった情報をキャッチしている方がいて、「最近農林水産業向けのアイテムを出されていますが、狩猟用のウェアを販売することってありますか?自分も狩猟をしているので、激しく希望しています。」といった声もありました。

「わ、専門的な読者さんだ(笑)。そうですね、狩猟に関して言うと、我々の中でも興味深いジャンルではあります。

今後どういったアプローチの製品を作るかを相談する会議の中では、もう当たり前のことのようにその言葉は出てくるんですよね。

狩猟は生態系を維持するために大切な活動の一つだと言われているので、我々もご協力できることがあればと、視野には入っていますよ」

新ジャンルへ進出するためのモチベーションは?

そうした新しいジャンルに進出していくためのモチベーションはどこから来ていると思いますか?

「モチベーションねぇ……。売上に関する勝機があるからとかそういうことではなくて、喜んでくれる人がいるかですかね。

だから『いくらの売り上げがそこのマーケットで埋蔵されているから、そのためにモノづくりをしよう』とか、そんな考えは出たことがないんです。我々自身がわからない分野に関しては作れないですからね。

必要なモノを自分たちで考えて作っていくスタンスの中で、全く違うジャンルの何かを作って欲しいと言われても、社内にそのノウハウを具現化する力がないとそれはできないと思うんですよ。

ただ、そのジャンルを意識しながら事業を一歩一歩進めていく中で、ある程度の場所に到達したときにはいつの間にかそれをカバーできるようになっている。そんな長期的考えが我々にはあるので、モチベーションに関しては『興味』を持つこと以外にないかもしれませんね」

興味以外考えていなかった、ですか……。これはすごく強いメッセージだと感じます。

「困っているお客様とか、こういうモノを世に出せば喜んでもらえるかもしれない……。そんな思いつきの部分が『興味』だと思うんですよね。

例えば僕も高さの変わる折りたたみテーブルとかのアイデアを出させてもらったんですが、売れるかどうかとか、他のメーカーでどんなイス・テーブルがでてるとか、正直よくわからないんですよね(笑)

え、市場調査などはしていないんですか……?

「全くしないわけではないんですけど、今何が売れてるんだろうとかはよく分からないんですよね(笑)。自分があったら便利だなと思うモノを続々と作っているので

そのテーブルを作ったのは、自分の子どもにご飯食べさせるときに、足を何度もひっかけてしまうからなんですよ。そんな中で『椅子やテーブルの高さを変えたいな』と思いついたところから始まったんですよね」

「こんなモノを世に売ったら喜ぶ人がいるはずと思ったら、周りをあまり気にせずに、まずは作ってみる。

モンベルは、遊びを全力でやっている人間の集まりなんです。『我々はこんなモノがほしい!』と考えついたら、まず自分たちで作ることから始めましょう、と考える集団なんですよ」

モンベルが考える機能美って?

モンベルの「ウェアのデザイン」については、読者から一番大きな反応がありました。
「他のどのブランドはどんどんデザイン性を追求しているにも思うのですが、『Function is Beauty(ファンクションイズビューティー)』を掲げるモンベルはそこ見ていないのでしょうか?」、「なんでウェアのデザインにそこまでこだわらないですか?」といった内容です。

そのところ、ズバリどうお考えですか?

「んー。まず、ファッションはオシャレですよね。オシャレは機能とは繋がらなくても良いと思うんです。

モンベルはアウトドアメーカーなので、まず必要とするのは機能。そこで、機能をスポイルすることなく一生懸命カッコよく作っているつもりなんですが、ファッションのサイドから見ると、どうしてもシンプルなんだと思いますね」

ないがしろにしているわけではない、と?

「我々が掲げる『Function is Beauty』とは、機能美を追求したところに形が宿る、という考え。

職人気質な考えとでも言うんですかね。機能を生み出した結果、自然と美しさが宿る、と信じているんです。

アーバンだとかを見てない訳ではないんだけれども、『山でも着れる街着』は作りたくないんです、強いて言えば『街でも着れる山着』

「なので、ファッションを意識して作っておられるところはそれはそれでいいと思うし、選択肢としてはありだと思います。アウトドアの業界といっても、各社のスタンスがそれぞれありますしね

でも、フィールドに行って実際に記憶に残るのは、そこから見る風景ですから。服のオシャレさも重要ではあるんですけれども、しっかりと機能のある服で快適に山行を楽しんでもらいたいと思いますよ」

今後もモンベルが作り続けるのは、「山でも着れる街着」ではなく「街でも着れる山着」なんですね。

「そうなんです。もしくは『山から降りても恥ずかしくない服』くらいの感覚ですかね。

なので、『Light & Fast(ライトアンドファスト)』とか、『Function is Beauty』という言葉を使ってないがしろにしているワケではないんです」

日本と海外のプロダクト事情の違い

次はちょっとコアな方からの質問です。「日本と海外のアウトドアプロダクトの事情に大きな違いはあるんでしょうか?」

これは海外にも進出されているモンベルに私も聞いてみたいところです。

「これはありますねぇ。ただ、海外といっても一括りにできない部分が多々あります。ヨーロッパの中でもドイツもイタリアもスペインも全部違ってくるんです。同じアメリカでも州によって違うし、山間部と海岸部でも違うし……。

例えば、お客様のニーズにおいて分かりやすく言うならば、日本には四季がありますよね。だからオールウェザーでいつでも着られるという技術は、日本が一番進んでいるのではないかと思うんですよ。

アメリカのブランドですとメッシュ製のテントとかありますからね。これは乾燥した大地で寝袋だけ敷いて寝ることを考えて作られているけれど、日本でそんなことやって雨でも降ったらびしょびしょになるじゃないですか(笑)。

そういう意味でニーズやプロダクトの性質は土地によって変わってくるので、国内外ではかなり違ってきますよ」

「面白いところで言えば、韓国のモンベル、『モンベルコリア』の場合はLSグループの一角で運営しているんです。

モンベルコリアは、ライセンスプロダクションの形をとってモンベルのロゴマークを入れた製品を自社開発してるんですよ。そこで我々にとってはびっくりするような製品もつくるんです」

そこに抵抗などはないんですか?

その国におけるニーズであることが理解できれば、モンベルの製品として作ることを認めながらやっています。

韓国の山の事情も、今は一昔前からのピークが過ぎて、自然に対しての考え方が変わってるところなので。そうなると製品の事情だって日本と違ってくるのは当然です」

同じモンベルの名を冠しているといっても、国ごとによってプロダクトの性質が大きく変わってることがあるんですね。

「そうです。ロシアで取り扱ってるところだと、ウラジオストックにしても日本に近い側だとジャパンサイズが売れるんだけど、サンクトペテルブルクとかだとヨーロッパサイズじゃないと売れなかったりとか。

一つの国とはいえ、人種が違うので当然なのかもしれないんだけどね。その国の気候とかフィールドに出た時のコンディションによって服の形も変わってくるんです。そんな事情の中でも、日本に世界中のメーカーの製品が入ってきているのは、やっぱり四季があるからなんだと思いますよ」

モンベルが見据える未来とは

社長が代替わりしたモンベルは、製品を通じてユーザーと繋がる以外にも、例えばイベントやツアーのような催しを続けていく中で、企業としてどんな未来を作っていきたいのでしょうか?

社長が変わったから企業としての考えが変わることはないですね。この立場は預からせてもらってる仕事ですので。

会長(編注:辰野勇氏。現社長のお父様でモンベルの創業者)の『自分たちが欲しいモノを作っていく』という思いからこの会社が興ったわけなので、基本的にはアウトドアを楽しんでもらうために、よりよい製品を提案していきたい。この軸がブレることはありません。

その枠の中で、事業的にはどんどん変わっていったりはするかもしれません。例えば先ほどの一次産業の話でもそうだけど、前に進んでいる中で、モンベルの共鳴域に賛同してもらえる方々が増えていって、ハッと横を見ると、いつの間にか繋がっていたなんてことも起きているわけですし」

「僕、今この立場になってお話しさせてもらってるときに、自分の口で伝えなきゃいけないと思っていることはここなんですけども……。

モンベルの店舗に足を運んでくれるお客様って、夢持って来ていただいているんです。『初めて登山をやりたい』『今年は縦走やってみたい』『冬山にチャレンジしてみたい』。そんな自分なりの夢を持って来てくれている。

その夢を実現するためにお手伝いすることこそが、最大のミッションなんです。それは知識であり、モンベルアウトドアチャレンジでのガイドであり、製品であり……。それらを通じて夢の叶え方をお伝えすることが、我々が存在する理由なんですよ

辰野会長が掲げた7つのミッションを実現させつつも、ユーザーのためのモノづくりを粛々と続けていくことが重要、ということですか?

開発の段階で生まれたワレットのプロトタイプを見せてもらいながら

粛々と……。言葉にするとちょっと寂しく聞こえるけれど、やっぱりそうなりますね。

我々としてはやっぱり、アウトドアを楽しんでいる皆さんのためにモノづくりを続けていくスタンスは変わらないと思います。それが近未来であり長期の夢であり、粛々とした動きなんだけど、同時にそれは継続的なプロジェクトでもある

そういう意味では、良質なモノづくりを通じて、より良いアウトドアライフのお手伝いをすることが、モンベルが掲げる未来になるのかな」

“モノづくり”を大切にしていく、というのはユーザビリティをとことん考え抜いていることと同義だと思うので、今までのお話からすると、とても納得できる未来だなと感じます。

「夢っていうのは大それたことのように聞こえてしまって、人によっては“非現実的”な意味に捉えられがちだと思うんだけど、結構近いところで乗り越えられることって沢山あるんです。

目の前のことを一つ一つやっていたら道になっていた、みたいなこともあるじゃないですか。それに近いのかもしれないです。

でも勘違いしたらいけないのが、『ユーザーの欲しいモノだけを作る』だと、これはプルビジネスになるんですよ。ユーザーの声をきっかけにして、我々自身が欲しくなってしまうような、より良いモノを作り上げるのが重要なんです」

モンベルのユーザーが求めているモノを、さらに超えていくようなモノづくりを、ですね。

辰野「そうそう。お客様の期待を超えていけるような新しいモノづくりを、ということです!」

インタビューを終えて

モノづくりやガイド活動などを通じて、ユーザーの夢を叶え続けることこそが、モンベルが存在する理由であり未来でもある。

身近で、リーズナブルで、使い勝手もいい。そんな僕たちにとってポピュラーになり過ぎていたモンベルには、職人気質の粋なフィロソフィーが確かにありました。

まわりの環境に左右されることなく、前に進みながら裾野を広げることを選択するモンベルが放つメッセージは、軸があるからこそブレない強さを感じます

来週は奥多摩に行きたい。来月は少し遠出して、テント泊にチャレンジしたい。そんな希望が次々と溢れてきて、晴れた休日が待ち遠しくてたまりません。

おまけ

インタビューを終えたあと、「モンベルがおすすめする頭から爪先までのコーディネートを教えて下さい」という質問があったことを辰野社長に伝えると、

無責任なことを言うとその方の命に関わっちゃうから、どんな時期に、どんなフィールドで着たいのかを細かく聞いておいて下さい。そしたら、売るほどある製品のなかから、きちんとお選びしますよ(笑)」

と嬉しそうに答えてくれました。

この質問を下さった方、良ければROOMIEのSNSにもう一度コメントを下されば、編集部が責任持って辰野社長にお伝えしますよ!

mont-bell 公式サイト

インタビュー・構成・編集:田口基岐
Photographed by Kaoru Mochida

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たとえるならば、鎌倉から新宿まで徒歩10分の暮らし ー地方での暮らしを積極的に選ぶ生き方もアリじゃない?

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ここ数年で「地方移住」を具体的に検討して実行に移している人が増えているのをご存知ですか?

特に20代から30代を中心に、地方移住を支援する「認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター」の利用者が増えていて、この10年で10倍以上にもなっているのだとか。

実は私自身も憧れはあるのですが、生まれてからずっと東京に住んでいるので、憧れ以上に「不便さ」のイメージが大きくて尻込みしてしまいます。

そこで、今回は「みんなの部屋」にもご登場いただいた石川県金沢市にお住まいのご夫婦のお宅へ訪問。

結果からお話しますと、金沢市の住環境は、例えるならば「鎌倉から新宿まで徒歩10分」でした。

建築家の自宅は実験場

金沢市内の一軒家に住む松島さんご夫妻。

奥さまの環さんは一級建築事務所ICHIMIRIを主宰、夫の正博さんは工務店でリノベ関係のお仕事をされていて、ご自身で設計されたこの家が環さんの仕事場でもあります。

なので、環さんにとってこの家は「実験場」でもあるとのこと。たとえば……

大胆にスペースをとった大きな吹き抜けは、家の狭さを感じないための工夫。

そして、土間のキッチン。環さんが「一度どこかで試してみたかった」というこのスタイル、自分たちの家に取り入れたことでオススメしやすくなったんだそうです。

キッチンに作り付けの棚は、前の家から持ってきた無印良品のユニットシェルフがきれいに収まっています。これも、自分自身で設計したからこそ、の魅力ですね。

そして、ひときわ目を引くのが、この壁面いっぱいのディスプレイ棚

「隠す収納」を求める人が多い中、あえて家の中心に「見せる収納」を据えてみた、と言います。

棚には、ご夫婦それぞれが少しずつ集めたお気に入りの品々。

「ひとつひとつの趣向はバラバラでも、自分たちが気に入ったものだけを集めていけば統一感が出ますね」(環さん)

との言葉どおり、動物のフィギュアからキャンプギア、植物などバラバラのものたちが不思議な調和を醸しています。

「この家では、依頼される住宅ではなかなか実践できないことをたくさん取り入れました。たとえば、うちはベランダがありません。その分、室内を広くとって、洗濯乾燥機にお任せするスタイルです」(環さん)

そんな中、ちょっとした失敗も。

「階段の手すりをギリギリまで細くした結果、たわむようになってしまって、あとから横に棒を足したんです。これも、依頼された住宅では決してできないことですね(笑)」(環さん)

「でも、やってみたらインテリアのポイントになってくれて、二人のお気に入りになりました」(正博さん)

金沢市での暮らしってどうですか?

ではここで、金沢市での暮らしについて伺ってみましょう。

「私はずっとこのあたりで暮らしているのであんまり実感ないんですけど、住みやすい街ですよ」(環さん)

「僕は、東京で仕事をしていたこともあるんです。そのときと比べると、この暮らしやすさはちょっと手放せなくなりますね」(正博さん)

長く住宅に関わる仕事をされている正博さんは、東京での勤務経験があり今も大阪などへ出張することが多いとのこと。

「これは誰でも言うことだと思いますが、まず満員電車がないだけで、かなりストレスがなくなります。あと、道も渋滞しませんしね。公共事業がしっかりしていて、中心部から離れても道が広いんですよ」(正博さん)

「仕事をしていてもプライベートを過ごしていても、感度の高い人が多いし、食も文化も十二分に感じられますね」(環さん)

「たとえば、東京は世界的に見ても食や文化がかなり充実している印象があります。でも、人が多すぎてストレスレベルも高い。すると、人口密度が低くてストレスも低く、食や文化の面でも充実している金沢を選ぶのは僕にとって自然ななりゆきでした」(正博さん)

歴史に包まれながら働き、暮らす

ここで「ちょっと外を歩いてみませんか」というお誘いにのって、ご自宅のあるエリアを歩きながらお話を伺いました。

お二人のご自宅は、金沢駅から車で10分ほど。江戸時代には武家屋敷が集まっていた街並みからは深い歴史が感じられます。

「土日は観光客の方も多くいらっしゃいますが、基本的には静かなところですよ」(環さん)

武家屋敷を保存して見学できるように開放された施設も点在し、この日もたくさんの観光客の方がいらっしゃいました。

歩きながら、お二人に「東京や大阪みたいな大都市での暮らしを考えることもありますか?」と伺ってみると、

「実は、僕の仕事で東京に引っ越すかも、というタイミングもあったんです」(正博さん)

「そのときは『やったー!東京だ!』とも思ったんですけど、いろいろあって結局ここに家を建てましたね(笑)」(環さん)

「最新のものを見て、実際に触れられるのは大都市の良さだな、とは思います。でも、仕事の面では金沢にいることでデメリットを感じることは少なくなってきていますね」(正博さん)

「新幹線も通ったし、必要ならすぐに行ける環境にはなったよね」(環さん)

交通の便もよくなり、インターネットが当たり前に存在する今、大都市に住む絶対的な理由は見つからないと言います。

「私も、ここにいながら東京の家を設計することもあります。もちろん現地にも行きますが、大都市に住んでいないと仕事がないということは、少なくともなくなってきているんじゃないかな」(環さん)

金沢に住んでみたい気持ち、後押ししてください

ご自宅の近くから少し歩くと、広い河川敷に到着します。徒歩10分の圏内に、これだけバリエーション豊かな風景が存在すること自体、東京に住む私からすると羨ましい限り。

だんだんと、金沢での暮らしに憧れを抱きつつある私が、「金沢に住みたい気持ちを後押ししてほしい」とお願いしてみると……

「今日は、お話しやすいようにと思って静かなエリアを歩いてきましたけど、逆側に歩くと同じくらいの時間で金沢駅周辺の市街地に着くんです。いつもは、夫婦ふたりで飲んで歩いて帰ってます」(正博さん)

そう、これこそが金沢市の魅力なんだそうです。

歴史ある町並み、自然の豊かな風景、そして、ターミナル駅である金沢駅を中心とした大都市圏と何ら変わらない便利な暮らし。

これらがすべて歩いて行ける距離感の中に同居しています。海こそないものの、冒頭でも書いたように東京圏内で言えば「鎌倉から新宿まで徒歩10分」のような奇跡の立地。

「金沢へ移住された方のご自宅を設計したことがありますが、築90年の古い町家づくりの住宅をリノベしたんです。

金沢は歴史的に見ても災害が少なくて、そういった古いものが今でもきちんと残っています。歴史のある家に住めるのは魅力だと思いますよ」(環さん)

こちらが、環さんが設計された築90年の町家をリノベした住宅。

歴史のエッセンスを活かしながらも現代的な暮らしができる素敵な設計です。

こんな家に住めたらいいだろうな……と思ってしまいますが、実は都内で家を建てることを考えたら「かなり安く」手に入れることができるのだとか。

ここで、お二人に「【フラット35】地域活性化型」についてもお話してみました。

【フラット35】地域活性化型」は地域活性化を目的として、UIJターン移住などによる住宅取得をサポートする住宅ローンです。

住宅金融支援機構と連携する地方公共団体による補助金交付などの財政支援とセットで、最長35年、全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】の金利から、当初5年間、年0.25%の金利引下げを受けられます。

詳しい要件などは【フラット35】地域活性化型のサイトをご確認ください。

「あっ、金沢市は対象の地方公共団体に入ってるんですね。ならなおさら、オススメです!」(環さん)

「こちらは大都市圏と比べると土地も安いし、建築費用も安く抑えられることが多いです。普通の住宅だけじゃなくて店舗やオフィスを併設するとか、そういったニーズにも応えやすいんじゃないかな」(正博さん)

この日は気持ちのいい秋晴れでした

たとえば、都内で4,500万円の住宅購入費用を見込んでいると、多くの場合は中古マンションになります。

それが、こちらでは同じ金額で店舗やオフィス付きの住宅も無理なく建てられるんだとか。

となると、ネットを使って東京や大阪と繋がりながら仕事をしつつ、土地に根付いた生活をするのも夢ではありません。

【フラット35】を利用して店舗や事務所付きの住宅を取得する場合の詳しい条件などについては、【フラット35】のサイトをご確認ください。

「ここに住んで仕事している私達が言うんだから、間違いないです。金沢移住、オススメですよ(笑)」(環さん)

たしかに、ここまでのお話を伺ってみると逆に「やらない理由がない」くらいに思えてきます。

ぐぐっと背中を押されて、今回の取材を終えました。

大都市圏と繋がりながら、ゆるやかに暮らす生活

実際に地方で仕事をしながら暮らしているお二人のお話を伺ってみると、これまで私が「東京にいないと仕事ができない」と思い込んでいただけに思えてきます。

夢や空想で終わっていた地方移住、具体的に考えてみてもいいのかもしれません。

【フラット35】地域活性化型なら、そんな暮らしのスタートを金利引下げという形でもサポートしてくれます。

具体的に検討されているなら、担当者と直接会って話せる【フラット35】全国一斉相談会にもぜひ足をお運びください。全国の会場で、11月23日(土・祝)と24日(日)の二日間の開催です。

全国一斉相談会

Sponsored by 住宅金融支援機構

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Text by Yuta Tsukaoka
Photographed by Kosumo Hashimoto

インテリアはほぼ無印良品!愛好家が提案する“無印部屋”のつくり方(鳥取県北栄町)|みんなの部屋

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今回訪れた鳥取県の北栄町にある由良駅は、名探偵コナンの作者の出身地でもあり、由良駅は別名「名探偵コナン駅」とも呼ばれているそうです。

そんな由良駅から車で10分ほどのところに、今回紹介するOga_mihiさんのお住まいはありました。

無印良品愛好家のOga_mihiさんは、無印良品アプリも毎年ポイントが溜まってダイヤモンドステージ。果たして、そんな彼女が作り上げた“無印部屋”とは? 

公式サイトにも載っていない無印良品のアイテムの新たな活用法についても教えてもらいました。

お名前:oga_mihiさん(農家経営、歌手)ココちゃん(犬)
場所:鳥取県北栄町
面積とLDK:1LDK、約42畳
築年数と住宅の形態:築45年のトタン外壁の縫製工場跡地(リノベ後3年)
リノベ費:エアコン代入れて45万円弱

お気に入りの場所

模様替えがしやすく、居心地の良いリビング

以前住んでいたアパートとほぼ同じ広さのリビングが「居心地が良くてお気に入り」だと話すoga_mihiさん。

「家具はごく一部を除いて、全て無印良品で購入したアイテム。中でも、なるべく移動させやすいキャスター付きのものを選ぶようにしています。

それで2ヶ月に1度は、思い立ったタイミングで模様替えを楽しむのが好きなんです」

この部屋に決めた理由

「もともとはアパートで暮らしていたのですが、ある時、1年間のアパート代金を計算してみたらそのお金がもったいないなと思ってしまって。

丁度、主人の実家の縫製工場跡地の建物があったので、ここを使って、いかにコストをかけず住まいとして整えられるのか、勉強がてら自分達で作って住んでみようとなったのが今の暮らしのはじまりです」

Oga_mihiも旦那さんも建築関係の仕事ではなかったそうですが、旦那さんが図面を書き、壁を塗ったり、断熱材を入れたりを自分たちで行ったんだそう。

「おかげでかなりコストを抑えることができました」

リノベ費はエアコン代を入れて45万円ほどだというから驚きです!

残念なところ

1階と2階の移動が不便

「2階が玄関なのですが、キッチンを除き、トイレや洗濯機、お風呂などは全て1階にあるんです……。

なので1階と2階の行き来が頻繁でちょっと面倒ですね。洗濯機を回したときなど往復が多くて特に。

階段が工場として使っていた時のままで傾斜が急なので危ないというのもあります」

断熱材が効かず植物が育たない

植物が好きだと言うoga_mihiさん。前はもっと多く置いていたそうですが……

「断熱材があまり効いてないのと、部屋に南の窓がなく明るさが少ないこともあり、なかなか育ってくれなくて。

今何個かは知り合いに預けていますね。部屋が植物を育てやすい環境になったら、ゆくゆくは株分けしてもらおうと思っています。」

音が響きやすい環境

「建物が古く、防音が少ししか出来てないことに加えて、となりの家との間隔も近い為、話し声ですら外に響いてしまいます。

なので歌の練習をする際も、時間帯や場所を考えないといけないんですよね」

お気に入りアイテム

収納にも、部屋の仕切りにもなるチェスター

大好きな無印良品で揃えた家具の中でも、特に気に入っているアイテムは、『ポリプロピレンストッカー』。

収納に使うのはもちろん、あえて中に何もおかず空間を生むという使い方をしているのだそう。

「中身を抜いて吹き抜けにすることで、部屋の仕切りとしての効果は果たしつつ、座った時に見通しがよくなり圧迫感がなくなるんです。

この使い方は、別のメディアで紹介いただいた時にかなりの反響があったと聞きました。」

アウトドアでも使える頑丈ボックス

ポリプロピレン頑丈収納ボックスは収納ボックスとしてだけでなく、ローテーブルとしても使えます。

少し前までは、一枚板を上に置いて広めのテーブルとしても使っていたのだとか。

頑丈に出来ているので、照明の掃除をするときのとしても重宝したいるそうです。

キャンプに行く時に必要な用品を入れて行くと、出し入れがしやすく、テーブルやベンチとしても使えるので本当に便利ですよ」

自由自在に使い方を選べるスチールスタンド

「最近使いやすいなと感じているのが、この『使い方のえらべるスチールスタンド』です。

縦、横、どちら向きでも使えるのですが、本棚にしたりティッシュケース入れにしたりと多様に使えて便利ですよ。

見せる収納として使えるのはもちろん、生活感が出るものは隠してくれます」

暮らしのアイデア

お気に入りの小物は2つずつ

「気に入った商品は2つ購入するようにしています。

これは部屋に置いた時に統一感が生まれやすいのと、破損等で使えなくなった時にストックがあれば困らないから。

以前は1つずつでしたが壊れたときに後悔することが多くて、今では花瓶や洋服なんかも2つずつ購入するようになっていますね」

子どもの頃から続く、無印良品への愛

「無印良品は中学3年生の時に文房具を買ったことをきっかけに、ずっと使っています。

シンプルなデザインが好みなのと、丈夫で長く使える所が好きです。

また、無印の良いところは洋風の家でも、和風の家でも合うところ。

他のメーカーにはない、無印が放つ唯一無二の存在感がたまりません。」

「前に一度無印に行けなくなる夢を見たときは飛び起きて、ネットで調べ『なんだ夢か……』とわかったんですが、それでも不安で、その日の仕事終わりに無印良品の店舗へ足を運んで商品を購入したほど。

そこでようやく安心出来て……これはもう病気ですよね(笑)。」

これからの暮らし

理想のマイホームに向けて、遂に始動!

「今現在、マイホームに向けて、工務店さんとお話をしている最中です。

この家は、今後は賃貸にするか事務所として使いたいと思っています。

新しい家はここよりもさらに駅に近い場所で、野菜畑やたんぽぽ畑に囲まれた見晴らしの良い場所です。」

以前は平家風の2階建に住もうと考えていたそうですが、今回の住まいで階段を上り下りするのは将来大変そうだと感じたというOga_mihiさん。

マイホームも無印良品の家具の寸法に合わせて作ってもらっているそうで……無印生活はますます充実していきそうな予感です。

無印良品を心から愛するoga_mihiさんならではの、アイテムの新たな活用法の発見が今後も楽しみでなりません。

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「まさか自宅兼雑貨店を営むとは思わなかった」ママオーナーの白に囲まれた暮らし(鳥取県・湯梨浜町)|みんなの部屋

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日本海がすぐそばに広がる鳥取県・湯梨浜町に、今回お伺いする山本さんのお部屋はありました。

山本さんは自宅で小さな雑貨店「Cottei」を営んでもいるとのこと。

「雑貨屋さんを自宅で営むなんて考えていなかった」と話す山本さんが、自宅にショップをオープンした理由とは? 

雑貨店とお住まい、それぞれの空間についてお話を聞いていきます。

お名前(職業):山本直美さん(小さな雑貨店Cotteiオーナー)
ご主人(庭師)お子さん2人
場所:鳥取県 湯梨浜町
面積とLDK:31坪 4LDK
家賃:(非公開)
築年数と住宅の形態:戸建て 築9年(4LDK):31坪

お気に入りの場所

ご主人が半年かけて作り上げた店舗スペース

「庭師の主人が、もともと和室だった部屋を解体して半年かけて作ってくれました。娘も手伝ってくれたんです」

Instagramの#cottieのお店づくりから、雑貨店が完成するまでの一連の流れを見ることもできるとのこと。

「雑貨屋さんを開くことは昔からの夢でしたが、まさか家を建てる時に、自宅に作ることになるとは考えてもみませんでした。

家を建てる前に身近の何人かの人から『住宅兼店舗を始めた』と聞いたので、私も試しに主人に相談してみたんです。そしたら主人が今のスペースを作ってくれて。

今では週2日、ここで「Cottie」をオープンしています。」

心地よい無垢の床

「家を建てる際に床を無垢素材にすると気持ちが良さそうだと考えていたのですが、いざ住み始めてみたら本当に良くて。

リビングにいる時間が長いので、無垢にして良かったなぁと心から思います。」

白を基調とした、開放感のあるキッチン

「全体のイメージはいろんな人のブログを見たり、雑誌を見たりして固めました。大工さんと相談して、天板等の色合いは白を基調にIKEAのキッチンのカラーに揃えてもらっています。」

「シンクはステンレスにファインセラミック加工を施したCOMOシンク。使用してもう9年になりますが、デザインだけでなくキズに強いなどの機能性も魅力のひとつですね」

また、関西に住んでいた時に被災した経験があると話す山本さん。

「万が一の時に物が多くあると頭上に降ってくるなどして危ないので、物は多く置きすぎないように気をつけています。」

見晴らしの良いお庭

元々はウッドデッキがあり、子どもたちが遊ぶ際や家族BBQで活用していたそうですが、老朽化を理由に昨年解体したのだそう。

それを残念に思いつつも「庭から見えるカントリーな風景がお気に入り」だと話す山本さん。

お庭の小屋もご主人が建ててくれたんだそうです。

この部屋に決めた理由

子どもに良い環境を重視した

「山の上に主人の通った学校があるのですが、そこに通わせたいという思いが強くありました。実家が近くにあり、ここに家を建てる土地があったということが大前提ではあるのですが……。

その学校の校庭には芝生が広がっていて、給食は調理師さんたちが目の前で作ってくれるんです。それって親からすると安心だし嬉しい環境ですよね。」

残念なところ

パントリーが狭い

「近所の方から野菜などをもらう機会が多くて。保存量を考えるとスペースがもう少しあったらなぁと思いますね。」

テラコッタタイルは冬に足元が冷える

「夏に素足でいると冷たくて気持ちが良いのですが、冬場は少し上を歩くだけでもスリッパを履くようにしています。

掃除がしやすいのは利点なのですが……寒さ対策は必須ですね。」

お気に入りのアイテム

部屋を明るくするCOLONIAL CHECKのカーテン

「このCOLONIAL CHECKのカーテンは、外からの光を多く取り入れて部屋の中を明るくしてくれるんです。

一方で外からは中が見えづらい。すごく重宝しています。」

毎朝選ぶのが楽しいキッチンクロス

「キッチンに常備しているfog linen workのキッチンクロスたちもお気に入り。複数の色合いや柄から毎朝使うものを季節や使い方に合わせて選んでいます。

リトアニア産のリネン素材で乾くのがとても早いんです。本当にオススメなので、雑貨店でも取り扱っています。」

量り売りで買える201LABのルームフレグランス

「以前に雑貨屋さんでバイトをしていたときに見つけた、201LAB by ARTLAB.CO.,LTD.のルームフレグランス。京都のものです。

香りを気に入っているのですが、中身を量り売りで買えるので、ボトルを再利用して使い続けられるのも魅力のひとつですね。」

8通りの照明が、使い勝手の良いライト

「玄関に置いている、志成販売さんのLED wire lights blinkはワイヤーで形状が自由に変えられる優れもの。

さらに8通りの光り方をするので、冬はクリスマスツリーに巻き付けるなどしても綺麗です。玄関の明かりとしても使うこともありますし……使い勝手が良いのが好きなポイントです。」

暮らしのアイデア

こだわりを貫ける住宅会社選び

「家を選ぶ際は、住宅会社が重要。扉やキッチン周りの道具などを自由に使いたいものにしても、ちゃんと保証が効く会社にお願いをしました。」

インテリアは低いもので揃えてスッキリ広く

「スペースをスッキリ広く見せたいので、高さのある家具は置かないようにしています。

また子どもが成長する中で好きなものも変わってくるかもと考えたので、なるべく癖のないシンプルな白家具を選ぶようにしていました。」

これからの暮らし

そろそろ置きたいお気に入りのソファー

「子どもが小さい頃はお気に入りのソファーを置いてもゆったりする時間がなかったり、落書きなどのイタズラをされたりするかもしれないと考えてソファーを置けなかったのです。

でも、そろそろリビングにソファーを置いてもいいかなと思っています。今まさに探してはいるのですが、まだ気に入るものに出会えてないという感じですね。」

窓から見える絵画のような景色に癒される暮らし

「家に癒しやくつろぎを求めているので、見晴らしの良さや景色を重視しています。だから、ウッドデッキをもう一度設置したいですね。」

自然豊かな景観に溶け込んだ山本さんのお住まい。

これからお子さんの成長に合わせて、今のお部屋の雰囲気が少しずつ変わっていくのかもしれません。

柔らかで明るい、真っ白なキャンパスのように今後の可能性がまだまだ広がる素敵なお部屋。

私も年を重ねながらその変化を見守っていきたい……そんな風に感じた取材の帰り道でした。

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大量に生産・消費されるアクセサリー市場で気鋭のジュエリー作家が大切にすること

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デパートの一角やセレクトショップの片隅、ネットショップに、SNS。昨今ではアクセサリーブランドが増え、私たちはその数多の中から選ぶことができるようになりました。

誕生日にもらったリングも、お守りがわりにと自分へ贈ったネックレスも、ジュエリーはいつだって身につけるだけでエネルギーをくれる「大切なたからもの」です。

一方で、ふと見渡すと目にはいってくるのは、大量に生産され、安価に消費されていくアクセサリーやジュエリーたち

手が届きやすくなる点では、それらは必ずしも良くないとは言えません。けれども、そんな市場のなかで、作家さんたちはどうやって戦っているのだろうか……?

そんな疑問を抱きながら訪れたのは、昨年独立し、個人で作品の制作を進めるジュエリー作家「Emika Komuro」さんのアトリエ。

引用:公式サイトより

昨年の白金5丁目AWARD ジュエリークラフト部門では準グランプリを受賞、今年はジュエリーの祭典「New Jewelry」への出展も控えている小室さんの作品は、ドローイングをもとにした作品作りや七宝技法を使ったジュエリーなど、他では目にしたことのないものばかり。

日常的に楽しめるジュエリーはもちろん、一生をともにする結婚指輪の制作などその創作活動は多岐に渡ります。

独自のスタイルで道を切り開いてきた彼女からなら、何か答えが見つかるかもしれない。

現代のジュエリー市場でひとりのジュエリー作家が向き合っているのは、装飾としてだけではないジュエリーの新しい側面、そしてジュエリーが日常に寄り添う未来でした。

現代の作家に求められるのは「自分で売るスキル」

「Emika Komuro」として独立する以前は、オーダーメイドの結婚指輪ショップで働いていたそうですね。

「はい。完全にオーダーメイドの結婚指輪屋さんで、制作ではなくデザイナー兼接客をしていました。『今日はどんな指輪をお探しですか?』から話を始めて、時にアドバイザーになったり、デザイナーになったり、販売員になったり……。」

なぜその仕事を選ばれたのでしょうか?

「今は作家が直接お客さまに販売できる時代です。いつか独立することを考えたときに、お客さまと接してどういうものを求められてるのかを身を以て学んで、自分で売れるスキルも持たなきゃいけないかなと感じたんですよね。

その点で、お客さまの求めているものに合わせるという、ベクトルが違うことを学べたのはいい経験でした。」

ある意味で「売ること」を意識し始めた経験だったんですね。現在はアクセサリーブーム的な流れがあり、大量に生産され消費されている現状も無視はできなくなっているかと思うのですが、いかがでしょうか。

「アクセサリーやジュエリーの波が来ているのはいいことだし、いまって手作りで作って『作家です』って言うことができますよね。

だからこそ、その中で埋もれてしまわないように自分の芯をもちつつ、差別化していきたいです。」

具体的には、小室さんはどのような立ち位置で臨まれているのでしょうか?

「アートとファッションやブランドの間、『工芸的なジュエリー』みたいな立ち位置にいられたらいいなと今は思っています。

たとえば、コンテンポラリージュエリー(※)のようなあまり数は売れないけれども面白い世界があったり、ファッションとして楽しめるような手に取りやすいジュエリーを作ってる方もいたり……。」

※編注:作品性や作家性が高く、ギャラリーで扱われることも多いジュエリー。アートジュエリーと呼ばれることもある

「みんなすごいと私は思っていて。でも、どれが自分に合うか合わないかはやってみないとわからないじゃないですか。

そこで自分はどこに合うのかなと改めて考えたときに、もともと工芸をやりたかったことを思い出したんです。工芸ってアートでもなくデザインでもない、日本独特のクラフトと呼ばれる手工芸。日常のなかで使うものなんですよ。

誰かに使ってもらいたいし、日常のそばに私が作ったものが在ってほしいんです。」

誰かの軌跡の一部になるようなジュエリーを

作品性の強い“アートジュエリー”と、服装に合わせて装飾的に楽しむ“コスチュームジュエリー”、希少価値の高い素材で作られた“ファインジュエリー”など一概にジュエリーと言ってもさまざまな分類のある世界。そのどれにも寄らないようにされているんですね。

「あまり自分のいるコミュニティを限定してしまうのはもったいないのかなって。身につけやすいジュエリーがあってもいいと思うし、つけられないけど素敵なものを作ってもいいと思うし……。

私にとって大事なのは、それを日常に置いてもらえるかどうか。ジュエリーって世代を超えて受け継がれていくもので、結婚指輪が特にそうかもしれませんがずっと大切にしたいものじゃないですか。

あのときあの人にもらったとか、あのときこういう心境で買ったなとか……結婚指輪でもアートジュエリーでもつけやすいピアスやネックレスでも、誰かの軌跡の一部になれたら幸せなんです。

もちろんそれが賞を取ったり売れたりすれば嬉しいことですが、生活の一部としてのジュエリーになればいいなって。」

魅了されたアートジュエリーの世界

かつては美術大学の工芸科で学ばれていた小室さん。ジュエリー作家を目指すきっかけやタイミングが、どこかであったのでしょうか?

「実家が染色の仕事をしていて、ものづくりには慣れ親しんだ環境で育ちました。なので自然と、自分もそっちの方向にいきたいなと思っていて……。

デザイン科のある高校に通っていたのでデザインの勉強をしたり、絵を描いたりしていたのですが、あるときふと『私は立体を作りたくなるんじゃないかな?』と感じたことがあったんです。

でも『そうなるかもしれない未来』を考えたとき、何かを作るには技術が必要で、それは独学じゃ難しいと思ったんですよね。工芸科を目指すことになったのは、それがきっかけですね。」

工芸科といえどガラスや陶磁、テキスタイルなど専攻はさまざま。その中で小室さんは金工を選んだそう。ジュエリー制作を始めるまでの過程はどういったものだったんでしょうか?

「アクセサリーが元々好きでしたし、母がよくアクセサリーを作っていて家に小さいビーズなどがたくさんあったのが最初のきっかけですね。

決め手になったのは、アクセサリーとジュエリーの違いもわからない中、ある雑誌で『ジュエリー専門のギャラリー』があるのを知ったこと。そのときの自分の中ではジュエリー=ファッションとして楽しむものだったので、なんだろうこれはと思って。

実際に見に行ってみたら、すごく衝撃を受けたんです。コンテンポラリージュエリーと呼ばれるジャンルをそこで初めて知ったんですね。

ファッションとして楽しむためのジュエリーではない、いわゆる『アートジュエリー』の世界を初めて知って、工芸でありながらファッションでもありアートであるジュエリーの柔軟性が面白いなと感じました。ジュエリーの制作に進みたいなと思ったのは、そのときからですね。」

心がときめいた瞬間の「物質感」をかたちに

制作過程にドローイングがあったり、七宝技法をメインに使っていたり……。独自性のある現在のスタイルには、どのようにたどり着いたのでしょうか?

「大学2年生の頃から、ジュエリーの魅力に気づいたきっかけとなるギャラリーで働きはじめたんです。展示中の作家さんとお話しながらさまざまな作家さんの思考や大事にしているものを学んでいく中で、『自分にとってはなんだろう?』とずっと考えていて。」

作品を通してなにを伝えたいか、ですね。

「人と話してたり、きれいな景色を見たり、光が入ってきた瞬間に『ハッ』てなる瞬間ってあるじゃないですか。そういったときに自分の中に、何かが生まれるような瞬間を幼い頃からずっと感じていて。

その異物感、物質感みたいな違和感を何かしらのかたちで表現して、誰かとそうだよねと言い合いたいなっていうのがすごくあったんです。自分のなかにある違和感をがんばって掴む作業が、詩を描いている人は言葉だったり、ガラスやってる人はガラスだったりすると思うんですけど、私にとってはジュエリーだった。」

実際に作品の元となったドローイング

「ジュエリーの小さな物質に詰まっている濃密な魅力やエネルギー、想いが、自分のなかにあった掴みたいけど掴めない感情の質感と似ていることに気がついて。

その物質感を掴むために、ドローイングを挟んでいます。描きながら『こんな感じ、こんな感じ』とイメージを辿っていって、立体に起こすときに採集するようにまたもう一回掴むように。」

たしかに、そういう心が震える瞬間、何かが琴線に触れるような瞬間って誰しもがありますよね。

「例えるなら幼い頃に集めた貝殻を箱に入れて大切にしまっていたような、ときめきみたいなものに近いかもしれません。

光が入ってきてワッて思うのもときめきだし、誰かと話してて涙が出そうになるのもときめきだし……。そういうものをかたちにしたいなって。」

Emika Komuroのジュエリーの一部

小室さんの作品は、色とりどりの七宝も特徴のひとつ。ジュエリーでは珍しいように感じますが、これも何か理由が……?

「もともとガラスがすごく好きで、専攻はガラスと金工で迷ったくらい。」

「七宝って金属の表面にガラスの釉薬を焼き付けるんですけど、ガラスのきれいさも楽しめるし単純にきれいだし、素材として惹かれる部分がありました。色を使える点で表現したいかたちにフィットしているのも大きいですね。

釜から出した瞬間に色が変わっていくところは綺麗だし、『この色求めてた!』なんて新しい色に出会えることもあるし……。出来上がったときにときめきを感じます。」

ファッションだけでないジュエリーの魅力を伝えたい

自分の生み出した作品やジュエリーの在り方について、さらなる模索を続ける小室さん。今後はどのようなかたちで発展していくのでしょうか?

「アートジュエリーとそのほかのジュエリーって同じジュエリーなのにすごく離れていて……両立されている方って本当に少ないんです。

だから私はそのフィールドで、あるときはアートジュエリー、あるときは結婚指輪、あるときはファッションとして楽しめるジュエリーと異なるスタイルを貫きたいなと。」

ジュエリーを愛するからこそ、それぞれの魅力を伝えたいんですね。11月にはNew Jewelryへの出展、来年5月には書店での個展も控えていると伺いました。

「今、ジュエリーを買える場所ってジュエリーのギャラリーやイベント、ポップアップがほとんど。なので本屋さんもそうですが、ジュエリーが今まで置かれていなかったような違うジャンルの場所でも発表できたらと思っています。

かつての私みたいに『ジュエリー=ファッションとして楽しむもの』のイメージを持つ方がほとんどだと思うので、『え、これってジュエリーなの?』『こんなのあり?』と知ってそうで知らないジュエリーの面白さをちょっとずつでもわかってもらえたら、それ以外の側面もあるんだと気づいてもらえるのかなと。」

「もちろんジュエリーとファッションの関係は密接だから切っても切り離せないけれど、『このコップが美しい』『この絵が素敵』みたいに造形としての魅力でジュエリーを選んでもいいと思うんです。

『ジュエリーってこんなに面白いんだ』と思ってもらえて、自分の意思でジュエリーを選ぶきっかけになったらうれしいですね。」

小物として扱われるジュエリーですが、そのひとつひとつにはバックグラウンドがあり、込められた想いがあります。

何が良いもので、何がそうじゃないか……その価値を判断するのは、あくまで買う人に違いありません。

それでも、氾濫する市場のなかで作家さんが戦っているのは目先の流行や人気ではなく、ジュエリーそのものの在り方や存在意義。そしてもっと先の未来だと感じたのでした。

Emika Komuro

Photographed by Kaoru Mochida

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この冬は自宅でアロマウォーターを「蒸留」しよう! 好きな香りでお部屋を満たす冬ごもり、最高だな…

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無印良品のアロマディフューザーの売り場を通りかかったとき、あることを思いつきました。

自分で蒸留器を買ってアロマウォーターを作れば、好きな香りを組み合わせたファブリックミストやフレーバーウォーター、化粧品なんかがいつでも好きなだけ作れて最高なのでは……?

その後帰っていろいろ探してみたところ、まさにそれを実現してくれそうな蒸留器を発見したので、店舗を取材してみることに。

清澄白河の「理科室蒸留所」

やってきたのは、家庭用蒸留器『リカロマ』を販売している、清澄白河の「理科室蒸留所」。

蒸留に関係する商品を購入できるほか、実験器具のような設備で作られる水出しコーヒーをはじめとした様々なドリンクも楽しめます。

店内ではリカロマだけでなく、アロマオイルや保存瓶など蒸留に関係する様々なものが販売されています。

家庭用蒸留器「リカロマ」って?

今回お話を伺ったのは関谷理化株式会社の関谷さん。関谷理化は代々続く理化学ガラスの卸問屋だそう。


家庭用蒸留器『リカロマ』は、「理科室蒸留所」で取り扱っているオリジナルの家庭用蒸留器。

必要最低限のパーツでできていて洗いやすく、収納もしやすく、見た目にも美しいのが特徴です。

IHヒーター、水・氷・蒸留したい材料を用意すれば、お家で簡単に蒸留ができるんだとか!

現在販売されているリカロマは2種類。

「家庭用蒸留器リカロマmini」(税込27,500円)

シンプルな要素で構成されたリカロマmini。

一度に100mlほどのアロマウォーターを作ることができるそう。

「家庭用蒸留器リカロマhome+」(税込58,850円)

リカロマhome+には溶けた氷が外に出ていく機構が付いています。

サイズはリカロマminiに比べ少し大きめで、一度に200mlほどのアロマウォーターを作ることができるそう。

リカロマで楽しむ蒸留のやり方

今回教えていただいたのは、生姜を使った蒸留です。理科室蒸留所では高知県の農家さんから仕入れた生姜を使っているんだとか。

生姜は季節のハーブや好きな柑橘の皮に変えてもOK!

リカロマの蒸留の仕組みはいたってシンプル。

IHコンロで暖められた水が蒸気となって生姜を通過し、氷で冷やされて再び液体に戻り外側のビーカーにたまっていきます。

まずは準備

まず、蒸留したいものと400mlの水をリカロマの中にセッティングします。

「慣れてきたら蒸留するものによって水の量を調整してください。」

「ここで1つ注意が。蒸留するハーブや柑橘は農薬が使われてないものを選ぶ必要があります。

蒸留すると農薬の成分が濃縮してしまうこともあるんだとか……注意です。

上部に氷を入れます。ここまでの準備ができたらIHコンロのスイッチをオン。

「IHコンロを使うのは、温度差によってガラスが割れるのを防ぐためです。」

理化学ガラスは熱に強い特性を持っていますが、120℃以上の温度差には弱いため、ガス火から下ろしてすぐに冷たい大理石の板に置いたりすると割れてしまうことがあるようです。

透明なガラスの中で沸騰している水の様子が生き物のようで、思わず見入ってしまいます。

加熱され気化した液体は氷で冷やされ再び液体に戻り、ポタポタと少しずつ外側のビーカーにたまってきました。

氷に塩をかけるとさらに効率よく冷やすことができます。

氷が溶けてきたら、適宜追加します。

透明な液体が

今回使用したリカロマhome+は、元の水の量400mlに対し、200mlほどの蒸留した液体が取れればOK!

「色素成分は重くて沈んでしまうため、蒸留した液体は透明になります。」

蒸留するものにもよるそうですが、ここまでの所要時間は約40分でした。

ソーダにしてみる

甘くないジンジャーソーダ:400円

理科室蒸留所で提供されている『甘くないジンジャーソーダ』、見た目はただの炭酸水ですが、口に含むと濃い生姜の香りがして、とても不思議な気持ちに……。

「リカロマの使いみちは本当に様々で、蒸留を日常に取り入れている人の話を聞くといつも発見があります。

蒸留した水やオイルを使うだけでなく、蒸留した後のヒノキをお風呂に入れてヒノキ風呂みたいに楽しんだり……。

それぞれの生活のなかで試行錯誤しながら自由に使われていますね。」

関谷さんご自身は、ノンアルコールのジンを作ろうと試みたそうですが、そちらはまだ成功していないとのこと。

シンプルで扱いやすいからこそ、色々試したくなってしまうのもリカロマの1つの魅力かもしれません。

使いやすく美しい家庭用蒸留器を

もともと、大学や企業の研究機関に向けた理化学ガラス製品のみを取り扱っていた関谷理化。

そんな企業が、家庭用の蒸留器の開発に取り組んだのはなぜなのでしょうか?

「職人さんの高い技術力を持って作られる理化学ガラスには、普通のガラスとは違った特性があります。

蒸留器を作ったのは、そのうちの一つである『耐熱性』を活かせると思ったから。

お客さんから『シンプルで扱いやすい蒸留器が欲しい』というリクエストをいただくこともあって……。」

理科室蒸留所には、実験室のような本格的な蒸留の設備もある

「すでに市販されている蒸留器は複雑な仕組みをしていて洗いづらく高価。家庭で使うのに適したちょうど良いものがなかったんですね。

そこで、アロマのプロの方と理化学ガラス職人さんが一緒になって、なるべくシンプルで使いやすく美しい蒸留器を考えた結果できたのが、『リカロマ』です。」

理化学ガラス職人を夢のある仕事に

「理化学ガラス職人の世界は現役世代が80代、若手世代で60代。

職人の仕事はなかなか日の目を見るようなものじゃないというのがあって、若い人が夢を持って業界に入ってきづらいんですよね。

だったら理化学ガラスの職人の技術を使って、一般の人が親しみやすく魅力的に感じられるものを作って販売しようと考ました。

それが、理化学ガラスを生活に溶け込むインテリアとして提案する店舗『リカシツ』の始まりです。」

「『リカロマ』の開発をきっかけに、「リカシツ」から蒸留に関するところだけを切り離してできたのが、ここ『理科室蒸留所』ですね。

お店は、理化学ガラス製品を販売したりその魅力を発信するための場ではあるんですが、そこにきたお客さんからもらったフィードバックを新しい製品に生かす、お客さんと職人さんたちとの直接の交流の場にもなっているなと感じています。

『リカシツ』や『理科室蒸留所』の理化学ガラス製品を手にとって使ってもらうことで、『職人ってこんなことができるんだ』ということを広く知ってもらえると嬉しいです。」

お家で蒸留してみる冬

アロマオイルやフレーバーウォーターも簡単に買える便利な世の中。

でもだからこそ、あえて自分で作ってみるのも楽しいんですよね〜。

そんな贅沢ができるのは、寒くてなかなか外に出る気にならない冬だからこそ。

家にこもって、ハーブや柑橘の無限大の組み合わせを試したり、素敵な香りでお部屋を満たしたり……。

そんな冬ごもりはどうですか?

[リカロマ公式サイト]

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